「独立記念日の犯罪」(2016年08月24日)

8月17日の独立記念日。トゥジュブラサンと呼ばれて、大統領から一庶民に至るまで官
民あげての一大祝祭が行われるこの日も、犯罪者たちは稼ぎに精を出している。とはいえ
報道された犯罪は祝日の夜明け前に行われており、陽が上がれば全土を埋める紅白旗の下
で記事にもされない犯罪がどれだけ行われたのかはっきりしない。コンパス紙が報道した、
その日起こった犯罪事件のいくつかをかいつまんでご紹介しよう。


深夜3時45分ごろ、西ジャカルタ市カリドゥルスに住む33歳の男が南ジャカルタ市ク
バヨランバルのブロッケムに近いファレテハン通りのフットサル場にやってきた。そして
まず目に付いた男ロフマッから携帯電話機を奪った。見知らぬ男が近寄ってきていきなり
自分の持ち物を強奪しようとしたのだから、ロフマッが抵抗しないわけがない。一緒にい
た友人シディッも加勢する。するとその男は折りたたみナイフを出して二人を刺し、獲物
を奪って逃げた。

犯人は普段からプレマン稼業をしているごろつき男であり、そのときはアルコールが入っ
ていたので怖いもの知らずになっていたようだ。男はファッマワティ通りのゴールデント
ゥルーリー商業地区に移動して、サファルとデディに出会った。かれらはプレマン稼業の
同業者だが、敵対関係にあった。

男は即座に路上に転がっているコンクリートブロックを手にしてサファルの頭に打ちかか
って行った。サファルは激しい脳震盪を起こして倒れ、運び込まれたプルタミナ中央病院
で13時間後に死亡した。サファルを介抱しようとしたデディをも男はナイフで刺し、そ
こから去った。警察はその日のうちに、餓狼のようなその犯人を逮捕している。


やはり未明のころ、ブカシ県クルタサリにあるBRI銀行ATMブースに挙動不審な男が
いるのに警備員が気付いた。ひと足の絶える時間帯に人間がブース内に長居しているのは
怪しい。そこからちょっと離れた場所に自動車が一台駐車しており、運転席には人影があ
る。警備員は警察に通報した。

パトカーがやってきたのに気付いたATMブース内の男はそそくさと駐車している車に乗
り込み、車はすぐに発進した。警備員がATMブースを調べたところ、中には3キロ入り
ガスボンベと溶接機が残されており、ATM機に穴が開けられる寸前だった。監視カメラ
には黒色のペンキスプレーが噴射されていた。

パトカーは逃げ出した車をそのまま追いかけ、停止を命じる警告射撃を行った。それが無
視されたので、次にフロントガラスと車体に向けて発砲する。カーチェイスが展開され、
およそ1キロほど走ったところで犯人の車は街路樹に激突し、大破して止まった。街路樹
は倒れて傍らの店舗住宅建物一部を損壊させた。

車内のひとりは衝突のために死亡し、もうひとりも重態で警察病院で治療を受けている。
死亡したのは15歳の現役高校生だった。もうひとりの男は22歳の現職警官で階級は二
級警部補。大破した車内からは、エアソフトガン、台所包丁、鉈が発見されている。


やはり未明に南ジャカルタ市カレッにある一軒のコスで、二輪パトロール警官が二輪車盗
難現場を目撃した。ひとりの男がコスの敷地内から後ろ向きに二輪車を押して路上に出よ
うとしており、近くでもうひとりの男が二輪車に座ってそれを見ている。ふたりのパトロ
ール警官が近寄って行くと、二輪車に座っていた男がいきなりピストルを出して警官に発
砲した。もうひとりの男もピストルを抜く。警官ふたりは即座に応戦し、銃撃戦が展開さ
れたあと、二輪車の男は地面にくずおれた。

ひとりの警官がもうひとりの犯人と格闘に入る。しかしこの犯人は巧みに警官の腕をすり
抜け、オートバイで逃走した。逃すまいと警官は脚と腰に発砲したが、犯人は転倒もしな
いで逃走してしまった。射殺された犯人は36歳の男で、左こめかみから右側に銃弾が貫
通していた。