「預金取り付け扇動者逮捕」(2016年11月29日)

国内のソーシャルメディアに流された、16年11月25日のムスリム数百万人を動員す
る大デモ計画に時を合わせて全ムスリムは銀行預金を全額引き出そうという国家経済の混
乱を狙ったメッセージの発信者を、国家警察が11月24日に逮捕した。

警察がアホッ都知事を宗教侮辱の罪で容疑者にしなかったら、全ムスリムは銀行に預けた
自分の金をすべて引き出そうという内容の、社会不安を引き起こすメッセージを書いたり
転送したソーシャルメディアのアカウントは70ほどあったと警察は公表している。


逮捕されたのは北ジャカルタ市プルイッ地区にある職業高校の教員31歳で、警察はプン
ジャリガン地区の自宅にかれが帰宅するのを待って逮捕した。かれがフェイスブックにア
ップロードしたものの中には、「ラッシュマネー行動はもう始まっている。さあ、コミュ
ニストの銀行からわれわれの金を引き出そう」というメッセージの添えられた、ベッドの
上に大量の紙幣を並べてあたかも既に銀行から引き出してきたような写真があり、そのメ
ッセージは扇動的・非教育的で社会に害悪をもたらすものであると警察は断定してその教
員に罪を問うた。根拠にされたのは、電子取引と情報に関する2008年法律(ITE法)
第11号第28条2項。

法律はその罰則として最長6年の入獄刑を定めているが、警察はかれが教育者であり、ま
だ幼い子供を育てており、さらに今回の行いに対して悔悛していてソーシャルメディアに
謝罪文を載せることを警察に誓約したといった点に配慮し、拘置所に入れず市内拘留措置
を与えている。


国民は憲法で表現の自由や発表の自由を保証されているとはいえ、社会の中にSARA感
情を踏まえた敵対行動や憎悪感情を発生させることは犯罪とされており、電子メディアで
自分が発表するだけでなく、他人のメッセージを媒介することさえITE法は禁止してい
る。

ITE法では最初、被害者に限らず、内容とはまったく無関係な第三者からのものであっ
ても、悪意のあるメディア表現と断定する届出に応じて警察は訴えられた者を拘留するこ
とができたが、その条文は改定されたため、今では警察側も注意深い取調べ方法に切り替
えている。


SAFEnetのデータによれば、ITE法が施行された2008年に警察の取調べ対象
になった表現に関わる事件は2件だったが、2014年には41人、2015年は11月
までに44人が取り調べられている。

警察のサイバーパトロールは最近の傾向について、オンラインで流される読者を引っ掛け
たりたぶらかす虚偽情報の摘発に向かう傾向が強まっていると述べている。その種の虚偽
情報は英語のhoaxという単語が用いられており、既にインドネシアネティズンの常用語と
化している。ただし発音はインドネシア風に「ホアッ」と言うひとがマジョリティで、
「ホウクス」と読む人は少ない。

またバザー行為も増加しており、金をもらってネガティブな情報を作ったり流したりする
者が増えている。警察の目はそれらにも向けられているとのこと。

警察は国家の保安や社会の秩序を脅かすネットサイトの閉鎖を通信情報省に提起する任務
を負っており、その成果はたくさん上がっている、と国家警察広報部社会情報局長は述べ
ている。