「最低賃金の異常な上昇はなくなるか?」(2016年12月01日)

ビジネス確定、もっと広く言うなら法治の確定、というものが長い間風前の灯だったイン
ドネシアの欠点を改善して外国からの直接投資を高めることを望んでいる現政権は、20
15年10月23日に「賃金」に関する2015年政令第78号を制定して、最低賃金の
変動を先が見えるものにした。

その内容は、これがインドネシア>インドネシア税労働情報2014〜15年
>「最低賃金制度に変化」(2015年11月10・11日)をご参照ください。


ところが、各地方自治体で今年行われた2017年最低賃金決定プロセスでも、2015
年政令第78号の内容に無条件で服従することを躊躇する姿勢が多くの地方で見られたこ
とから、政令に従えという労働大臣や内務大臣からのリマインダーが再三流されていた。

全国の34州は2017年州最低賃金を16年11月中に定めた。政令で定められている
計算公式では、インフレ率と経済成長率分だけ現行最低賃金がアップすることになってお
り、政府は中央統計庁が提出したインフレ率3.07%と経済成長率5.18%を足した
8.25%のアップを各州知事に命じたのである。

中央政府にとっては、各州政府がどれだけ指示に従っているかということが地域行政評価
のひとつのポイントになる。政府がこの最低賃金決定に関する状況をチェックしたところ、
34州のうち30州が政令を遵守していた。政令通りにしなかった州は四つあり、アチェ
州がアップ率18.01%、南カリマンタン州8.29%、パプア州9.39%、東ヌサ
トゥンガラ州7.22%という結果になっていた。全国で2017年最低賃金の一番高い
州はジャカルタ首都特別区で、3,355,750ルピアと定められている。


これは新方針開始年の2016年最低賃金決定の際に起こったものよりはるかに統制が効
いてきていることを示すものだ。前年ではアップ率が11.5%と定められたが、指示通
り行ったのは14州、指示に従わなかったのが17州あり、残る3州は州最低賃金を定め
なかった。州最低賃金を定めなかったのは東ジャワ・中部ジャワ・ヨグヤ特別州の3州で、
州内ですべての県市が州最低賃金以上にしなければならないという原則に従い、州知事が
最も低い県市の最低賃金を承認することがすなわち州最低賃金の決定であるという理解の
もとに、別途州最低賃金を定めない慣例がそれらの州で続けられてきたということだ。し
かしそれらの州も、2017年州最低賃金を別途定める姿勢に戻っている。

一方では、従来から問題視されてきた最低賃金が適正生活需要より低い現象があり、今現
在最低賃金がそうなっていれば、政令の計算公式を遵守しているかぎり、未来永劫同じ状
態が続く。つまりそういう州は可及的速やかに最低賃金を適正生活需要に追い付かせるた
めに、政令の計算公式など使っていてはならない、ということになる。そういう州には
「政令を遵守するな!」という檄が飛ばされることになるわけだ。

労働省労使関係育成勤労者社会保障総局賃金ファシリティ標準化次局長は、西ヌサトゥン
ガラ・ゴロンタロ・マルク・北マルクの4州がそういう州に該当していることを明らかに
している。