「政府転覆計画が明るみに」(2016年12月05日)

2016年12月2日の宗教侮辱に反対するムスリムの大規模デモは、平和と秩序に満ち
て終了した。今回は正副大統領や諸大臣がデモ群衆で埋め尽くされたモナス公園に出て行
き、金曜日の大礼拝をデモの群衆と一緒に行うというパフォーマンスが示された。前回1
1月4日の大デモでは、夜に入ってから大統領宮殿前および北ジャカルタで小規模な暴動
があったわけで、不穏な企みが隠されているデモに国家トップがのこのこと顔を出すわけ
にはいかなかったにちがいない。

ところが12月2日にはそんなパフォーマンスが行われた。つまり安全が確保されている
ことがそのパフォーマンスを実現させたと見ることができるだろう。そして実際にも、首
都圏や遠くの州から集まって来たデモ参加者は最後まで暴れることなく平和裏に陳情行動
を終えて秩序正しく帰宅した。羊のように雰囲気と外的動因になびく群衆を暴動に駆る扇
動者が動きを封じられたことが想像される。


報道によれば、12月2日未明の3時から6時にかけて、大規模デモに乗じて現政府を覆
えす計画を立てていたと見られる10人を国家警察が拘留したとのこと。この10人の中
には、ラッナ・サルンパエッ、キフラン・ゼイン、ジャムラン、アディティヤワルマン・
タハ、エコ・アルヴィン、フィルザ・フセイン、ラフマワティ・スカルノプトリ、アフマ
ッ・ダニ、リザル・ラムリ、スリ・ビンタン・パムンカスらが含まれていたが、警察は最
終的にそのうちの7人を国家転覆罪容疑者として拘留した。残る3人はITE法違反容疑
とのこと。

警察が行った取調べの結果によれば、かれらは12月2日にデモが終わったあと、群衆を
国会議事堂に誘導して敷地内に突入させ、現政府不信任を叫ばせるとともに、混乱した議
事堂内でシンパを誘い、国民協議会に強要して不信任動議を可決させ、ジョコ・ウィドド
政府を崩壊させるという計画を描いていたらしい。


ところが、国民協議会に政府不信任を出させる計画のトップらが続々と12月2日の早朝
に警察に連行されたことから、その日14時ごろ、アブドゥラフマン・ワヒッ前大統領の
娘リリー・ワヒッに率いられたムスリム行動隊およそ百人が議事堂敷地前にやってきて釈
放を求めるデモを繰り広げた。

このデモ隊はずばり「現政権不信任を行って正副大統領とその内閣を退陣させよ」と要求
し、バスキ・チャハヤ・プルナマ都知事に対する宗教侮辱の抗議はそのための呼び水であ
ったことを露呈させている。

かれらの主張は、45年憲法をオリジナルの内容に戻さなければこの国は華人・華僑そし
てそれをバックアップしている某国に乗っ取られてしまう、という相変わらずのもので、
アホッ都知事の再選からの閉め出しはもちろんのこと、華人・華僑をのさばらせている現
政権などまったく信用していない、と現政府への不信任を叫んでいた。

国家警察は、国家転覆罪容疑者はまだ増える可能性がある、と語っている。