「ジャカルタの最低賃金は二転三転する?」(2016年12月05日)

選挙キャンペーンに入るため現職都知事の座を臨時代行者に譲って休暇に入ったバスキ・
チャハヤ・プルナマ都知事が最初定めた2017年ジャカルタ首都特別区の最低賃金が
「賃金」に関する2015年政令第78号に従っていなかったために中央政府が警告を与
えた結果、結局その政令に定められた算出公式に即した金額である335.5万ルピアに
変更して都知事決定書が再度作成された。


ところが先週後半に行われた労働界の陳情デモでデモ代表団と都知事代行者が会談したあ
と、都知事代行者が労働大臣に対して、政令に定められている算出公式の変更を提案する
手紙を出したことが明らかになった。

実業界は行政側のその措置に対し、既に確定したものをまた変更させる道を開く都知事代
行者の動きは後退である、との批判を表明している。

労働界の陳情デモでは、2017年最低賃金は383.1万ルピアが労働者の生活福祉を
支えるための最低線であり、ブカシ県353万ルピア、ブカシ市360.1万ルピア、カ
ラワン県360.5万ルピアなど周辺各地の新最低賃金に比較しても見劣りのしないもの
だ、という主張がなされた。


首都特別区賃金評議会で実業界を代表するメンバーは都知事代行者が行ったその措置に対
し、ジャカルタの賃金が国内で最高でなければならないような決まりなどどこにもないし、
各県市は独自の事情を抱えているために個別の要素を斟酌して独自の賃金を定めているの
であり、結果だけを比較して高い低いを言うのは見当違いである、とのコメントを発した。
全国ほとんどの州知事が2015年政令第78号に従って最低賃金を決めており、バスキ
都知事も一度出したものを撤回して政令に従うようにした。それを今更、また変更するた
めの扉を開こうとするのはいったいどういうことか、と知事代行者の動きを批判している。
スマルソノ都知事代行はその労働大臣に宛てた提案書について、基本線は既に定められて
いる都知事決定書通りであり、2015年政令第78号に従った最低賃金を変える意図は
少しもない、との事情説明を行っている。
「労働大臣に出した提案書は労働界の意欲を伝えることを目的にしており、その諾否は労
働大臣にお任せしている。」

中央政府が最低賃金算出公式の使用を命じて来たのだから、その公式に不満があるなら中
央政府にそれをぶつけるしかない。その橋渡しはするが、結果についての責任はわたしに
はない。もしも算出公式が変更されたら自分はそれに従うだけであり、変更されなければ
現状を維持するだけだ、というロジックがどうやら、そこに流れているようだ。


しかし生活基幹物資価格の変動で、労働者を含む一般庶民の生活福祉が落ち込んでいく傾
向は確かに感じられる、と青年商工会議所西ジャカルタ支部長は労働者の陳情行動に対す
る同情を表明している。

中央統計庁ジャカルタ支所のデータでは、2016年11月インフレ率は0.24%で、
全国インフレ率0.47%の半分でしかない。ジャカルタのインフレ率にもっとも大きい
影響を与えたのは食材で、赤トウガラシ・エシャロット・チャベラウィッの値上がりが最
大要因になっている。