「海上貨物輸送構想」(2017年01月12日)

スラバヤ港とロンボッ島のルンバル港を結ぶ海上直行航路が新規開設され、その利用状況
が十分に満足できるものであることが見極められたため、これまで陸路にばかり集中して
いた貨物の国内輸送を海上に分散させて、陸上輸送を30%ほど軽減させる方針を運輸省
が立てた。

そうすることによって、スマトラ島〜ジャワ島〜バリ島〜ロンボッ島という広範なエリア
で、道路ならびに島々の間を結ぶ渡海フェリー航路での混雑が軽減され、副次効果として
道路破損や交通事故による損害も減少させることができる。

当初方針としては、ランプン州パンジャン港とロンボッ島のルンバル港間にローロー船を
運航させ、船はジャカルタのタンジュンプリオッ港、スマランのタンジュンマス港、スラ
バヤのタンジュンペラッ港、バリ州のパダンバイ港に寄港するというのが基本構想。同時
に、ジャカルタとスラバヤを結ぶ海上輸送にも本腰を入れる計画であることを運輸相は表
明している。


河川湖沼渡海輸送業者連合会長は政府のその方針を歓迎し、これまで多数のローロー船が
能力を十分に活用されないまま係留されていた状況が大きく改善されるにちがいない、と
述べている。

同連合の会員が保有しているローロー船は195隻に上り、現在は渡海航路での海上輸送
に従事しているが、需給関係が供給過多になっており、係留されるばかりで稼働はめった
に起こらない船も中にある。ムラッ〜バコフニ65隻、クタパン〜ギリマヌッ55隻、パ
ダンバイ〜ルンバル45隻、ラブアン〜ポトタノ30隻という分布状況だが、積載状況は
5割を下回っているのが実情であり、大量の輸送能力が遊んでいる。
「政府はローロー船を使う貨物の海上輸送に補助金を用意する必要があるだろうし、海上
輸送が大きなメリットをもたらすと陸運業者に感じさせる政策を講じなければならない。
ただでさえ、トランスジャワ自動車専用道が2017年に開通すればかれらは陸上輸送に
もっと熱を入れるようになるにちがいないのだから。」


歴代のレジームがこの種の構想を打ち上げてスタートさせては失敗に帰するという経験が
いやというほど積み重ねられている。数年前にも何度目かのジャカルタ〜スラバヤ間ロー
ロー船運航構想の旗が振られたものの、結局は鉄道にお株を奪われて確定事業に至らない
ままに終わっている。

遠距離陸上輸送をやめて海上輸送にシフトしたいと陸運事業経営者に思わせるために何が
必要なのかを見つけ出すことが、この方針の成否を握る鍵であるのはわかり切っているこ
となのだが・・・