「タウラン好きの若者たち(終)」(2017年01月13日)

東ジャカルタ市チパユン地区で11月20日、6人のゲンモトルが道路脇でぶらぶらして
いる若者たちに突然襲い掛かり、17歳男性が鉈で切られて死亡し、もうひとりが重傷を
負った。その事件を捜査していた首都警察機動捜査次局は翌21日に17歳の男を犯人の
ひとりとして逮捕し、仲間5人を追跡している。5人の身元はもう割れているとのこと。

逮捕された東ジャカルタ市の高校に在学中のその青年によれば、総勢6人で夜の街中を襲
撃対象になる相手を探して回り、最終的にそのふたりに襲い掛かったとのこと。襲撃者と
被害者の間にはこれまで一面識もなかったし、その地区の人間に恨みがあるわけでもなか
った。襲撃の動機など何もなく、あたかもそこにいたから襲い掛かったという雰囲気が強
い。襲撃された者の仲間たちが自分らを敵視し、今後は自分たちに攻撃して来るよう仕向
けるための誘い水として襲ったのか、あるいはより大きくて権威のあるギャング団に参加
しやすくなるように、暴力行為の実績を積むのを目的にしていたのかもしれない、と警察
は推測している。


そして11月27日深夜1時ごろに、西ジャカルタ市タマンサリ地区のクタパン通りで、
6台のオートバイに乗った男達がやはり道路脇でぶらぶらしている若者たちを凶器で襲い、
20歳の地元民が右腰を鎌で斬られて深手を負った。

通報を受けた警察はただちにゲンモトルの捜索を開始し、1時間後に中央ジャカルタ市ス
ルヨプラノト通りのBNI銀行の表にたむろしていた4人を逮捕した。警察はかれらの先
輩が新入りに戦歴を積ませるために命じた行動ではないかという感触を得ており、そのた
め残るふたりを追うのと同時に、その6人に襲撃行為を指示した者も警察は一網打尽にし
ようとしている。


インドネシア大学犯罪学教授はゲンモトルの行動パターンについて、次のような分析を語
った。「かれらは襲撃するとき、常に集団で行う。ひとりのときは絶対に襲撃しない。そ
れは、かれら自身が他人から認められ称賛されることを強く望んでいるがためだ。ひとり
のときは仲間がそばにいないから、自分の行動を見て称賛してくれる者がいない。だから
いくら機会があっても無駄なことはしない。しかし仲間が周囲で見てくれていると、むし
ろ他人への残虐性を強める方向へとエスカレートする。」

襲撃者たちが持つその心理は、子供の犯罪行為におけるものと共通性を持っているように
感じられる。子供が犯罪を冒すとき、そばに大人がいると犯罪行為はより大きく深いもの
になる傾向があると心理学者は指摘している。暴力行為の場合は残虐性を増す。そこにあ
るのは、自分を認めて称賛してもらいたいという心理だそうだ。言うまでもなく、そこに
いる大人というのは、子供犯罪者の側に立っている大人であり、その子供の犯罪や暴力を
当然のものとして容認する姿勢でいる。子供が行ってはならないこととしてそんな行為を
抑止し阻止する大人のことではない。

子供が行う凶悪犯罪の増加は、やはりこの社会が持っている文化内の価値観に多数の社会
構成員ががんじがらめにされていることを証明するものではないかという推測が成り立つ
ようにわたしには感じられるのである。[ 完 ]