「喧嘩は命がけ」(2017年01月31日)

17歳の青年Aがワルネッで遊び仲間の17歳の青年Tを刺殺した。2017年1月16
日夕方、北ジャカルタ市チリンチンのカリバル地区にあるワルネッ近くの路上でAとTが
喧嘩し、Tが殺害された。インドネシアで喧嘩すると生命のやり取りになるという実例が
これだろう。

そのとき、Aはワルネッに遊びに来て、頻繁にそこでたむろしているTや16歳のDらと
つるんだ。かれらは以前から仲間になって、親しく接している。しばらくしてからTがA
に「金をよこせ」と強要したので、Aはワルネッを出た。Tはハサミを手にしてAを追い
かけ、暴力をちらつかせて威嚇しながら金をくれと強要し続けたので、Aは実力行使に出
た。そしてTは自分が持ってきたハサミでAに後頭部を深く切られ、死亡した。

遊び仲間だから金を強要したりしない、互いに暴力を振るったりしない、といった外国人
の常識が通用しない世界がインドネシアにはあるということにちがいない。


話変わって、南ジャカルタ市で深夜から未明にかけてオートバイ強奪犯罪が多発する場所
は、ブロッケム、パサルミング、ファッマワティなどの地区。普段公道で深夜にオートバ
イレースを行っている連中の中に、オートバイ強奪稼ぎをする者がおり、、かれらは闇オ
ートバイレースのかたわら、車両の通行が希薄になった上述の地区をオートバイで通行す
る一般市民を襲ってオートバイを奪う。奪ったオートバイは、闇オートバイレースを行っ
ている場所にやってきた故買屋に廉く売り払う、というのがかれらの悪事の流れ。だから、
闇オートバイレース場にされている地区と犯行現場はそれほど離れていない。折しも、フ
ァッマワティ通りはMRT工事の真っ最中で、建築資材や機器が雑然と山積みされている
場所近辺は夜警の目が届きにくいため、夜になると犯罪者たちにとって大いに羽を伸ばせ
る場所に変貌する。盗品オートバイの取引はそういう闇の中で繰り広げられる。

普通、被害者が失うのはオートバイと自分が使っている形態電話機と財布だが、たいてい
財布の中味はオートバイや形態電話機の価値よりはるかに小さいから、ターゲットの優先
順位は明らかだろう。


2016年12月26日午前3時ごろ、チプテからアンタサリ方面に向かう道路で、三人
の若者にオートバイと形態電話機と財布を奪われたという被害届が南ジャカルタ市警に入
った。刃物を突き付けられて、無理やり奪われたという。被害者は通常、まず抵抗しない。
賊はたいてい複数であり、刃物や飛び道具を持っているのだから、へたをすれば容赦ない
賊の攻撃を受けて生命に関わることをみんな知っているのだ。インドネシア文化内の生命
尊重観念がたいへん薄いことをその文化の子たちがみんな知っているのは当たり前のこと
だろう。

犯人は暴力犯罪課捜査員に24時間以内に逮捕された。犯人は17歳ふたり16歳ひとり
の高校生(在学中)で、頻繁に闇オートバイレースに参加し、奪った獲物はレース仲間で
かれらの上位者にあたる者に渡している。