「トバ湖旅行記(前)」(2017年02月08日) 7万3千年前にトバ火山が大噴火し、山が消滅して巨大な火口湖ができた。それが今のト バ湖。北スマトラ州北タパヌリ県シボロンボロンにあるシラギッ(Silangit)空港とジャカ ルタのスカルノハッタ空港間にダイレクトフライトが運航されるようになって、トバ湖を 訪れる観光客が急増している。 トバ湖には面積1,145平方キロの巨大なサモシル島(Pulau Samosir)があり、島内に はシディホニ湖(Danau Sidihoni)とアエッナトラン(Aek Natorang)というふたつの湖があ る。サモシル島の他にも、シバンダン(Sibandang)島とマラウ(Malau)島がトバ湖に浮かん でいる。今やトバサモシル県に昇格したトバ湖に渡るルートはいくつかあるが、シマルグ ン(Simalungun)県パラパッ(Parapat)からトゥットゥッ(Tuktuk)へというのがもっとも一 般的だ。 2016年10月にトバ湖に一泊二日の観光旅行をしたコンパス紙記者の旅行記をご紹介 しよう。 午前10時:トバ湖にもっとも近いシラギッ空港に到着。これは日本軍政期に作られた飛 行場で、1995年に使用が再開され、トバ湖の観光開発に伴って改装拡張が行われた。 当初の9百メートル滑走路は1千4百メートルに延ばされ、今は更に2,650メートル になってB737やA320型機が発着できるようになっている。 この空港へはジャカルタとメダンから4航空会社が直行便を飛ばせている。ここからトバ 湖畔のパグルラン(Pangururan)の町へは自動車で2時間半。メダンのクアラナム空港から だと5時間かかる。 10時半:シラギッ空港から1時間以内で行けるフンバンハスンドゥタン県ムアラ(Muara) の町を訪れる。この一帯にたくさんある丘に登れば、美しいトバ湖の風景を遠望できる。 このムアラの湖岸からもサモシル島あるいはシバンダン島に渡る船が出る。この地域はト バ湖独特のマンゴの産地だ。 12時50分:ムアラからドロッサングル(Dolok Sanggul)地区を通っておよそ百キロを走 破し、パグルランの町へ。パグルランの手前にある観光スポットのひとつパンダンテレの 塔(Menara Pandang Tele)に登る。パグルランに向かう観光客がまず例外なく訪れる定番コ ース。2千ルピアの入場料を払って4階建ての塔に登れば、サモシル島がすぐそこに見え る。目を転じれば、バタッ族の発祥地と信じられているプスブヒ山(Gunung Pusuk Buhit) も視界の中。 13時半:パグルランに到着。サモシル県は人口12万人面積121平方キロの小県で、 およそ3万1千世帯が住んでいる。2003年にトバサモシル県とサモシル県が分離した。 パグルランが県庁所在地だ。パグルランはトバ湖観光のひとつの中心地として発展してき ているから、ホテルやレストランは少なくない。とは言っても、サモシル島の反対側に位 置するトゥットゥッやパラパッほどの賑わいはないから、夜の10時ごろは街中がひっそ りしてしまう。パグルランで本土側とサモシル島は道路でつながっているので、船に乗ら ずにサモシル島に渡ることができる。[ 続く ]