「詐欺がネズミ算式に拡大」(2017年02月08日)

「わたしは不動産やクレジットカードの売買ビジネスを行っており、目の玉の飛び出るよ
うな利益が上がっている。いかんせん、資金がもうフル稼働していて、増やそうにも増や
せない。ぜひあんたにも、わたしに投資して一枚かんでもらいたい。リターンは決して悪
くないよ。あんたには毎週金利を6.5%払おう。ものは試しだ。いくらでもいいから、
わたしに資金を預けてくれ。元金も必ず戻って来るのだから。」読者の皆さんは、果たし
てこの話を信用するだろうか?

この話を持ち掛けられた中部カリマンタン州パランカラヤに住むPさんも、半信半疑だっ
た。是非とも、としつこく誘われたから、本当に週6.5%もらえるかどうかを試すため
に、1億ルピアをその男W40歳に渡した。Wはすぐにバッグから650万ルピアの現金
を出してPさんに渡す。

それから一週間経って、Wはまた650万ルピアをPさんに渡した。それが三回続けば、
普通のひとは信用してしまう。Pさんは投資総額を5億に増やした。即座に3,250万
ルピアをWがPさんに戻した。翌週、PさんはWが来るのを待ち、待ちに待って一日が暮
れた。どうしたのかといぶかしんだPさんはWに電話したが、電話に出る者はいない。翌
日、Wを探して駆けずり回ったが、消息はまったくつかめなかった。Pさんは警察に駆け
込んだ。


Pさんはそのうち、類似の被害届が警察に出されていることを耳にした。警察の話では、
Wの被害者はPさんを含めて4人出たそうだ。被害者のひとりは、なんと15億ルピアも
詐取されている。Wが4人から集めた金は30億ルピアにのぼっていた。

パランカラヤ市警はほどなくWを北スラウェシ州マナドの自宅で逮捕したが、この詐欺の
手口はバーナード・メイドフで一躍有名になったポンツィ・スキームによるもので、W自
身はHという男が行っている非合法投資ビジネスに引っかかり、投資額を増やしていかな
ければリターンが得られなくなるためにその詐欺犯罪を行ったことを自供した。

Wは2015年9月にHが新聞に出した投資募集広告に乗って5百万ルピアを投資し、H
の手練手管で投資額を8千万ルピアまで増やしたものの資金が底をつき、他人から資金を
集めなければリターンは得られず元金は焦げ付く結末に至ることを怖れて、四人から30
億ルピア(実際にはその金の一部を四人に金利として戻しているのだが)を詐取した。

犯罪被害者が穴埋めのために犯罪加害者になるという悪循環は、インドネシアでよくお目
にかかるストーリーのひとつだ。