「トバ湖旅行記(後)」(2017年02月09日)

16時:パグルランの街中にあるトバ湖畔のバタッ族インカルチュレーション博物館を訪
問。この博物館はサントミカエルインカルチュレーションカソリック教会の管轄下にあり、
インカルチュレーションと命名されている理由は、建築様式や装飾がトババタッ族の特徴
をたくさん盛り込んであるためだそうだ。ルンバンスイスイ(Lumban Sui-sui)にあるトバ
バタッ族の伝統家屋がほぼ再現されている。

この博物館と教会の発端は、バタッ語辞典やバタッ文化に関するたくさんの著述をなした
オランダ人牧師レオ・ヨーステンの発案によるもので、1997年7月7日に公式オープ
ンし、翌年に一般公開された。

博物館の収蔵品はバタッ族の歴史を垣間見せてくれる遺物が多く、数百年を経た伝統器物
や農具あるいは楽器や書物などが2百点を超えている。バタッ族の伝統織物ウロスやウル
バランの像、昔の写真、樹皮に書かれたバタッ文字の書ラッラッ、木彫、薬箱なども含ま
れている。


20時:パグルランのレストランはトバ湖岸に建っている。トバ料理やトバコーヒーを愉
しめる場所がそこだ。料理はトバ湖で獲れる淡水魚料理が多い。焼き魚や独特の黄色い汁
アルシッで煮たもの。そしてサッサンやクエランペッなどもお好み次第。

翌朝5時:トバ湖畔のホテルで一泊した翌朝、山峡の湖畔を覆っていた闇の帳を開く朝陽
を楽しむのも格別の体験。450メートルで世界最深と言われるトバ湖の水面に映える朝
陽は美しい。

トバ湖周辺の住民は、生簀を設けて魚を養殖し、あるいは豊かな湖水を導いて農業を営ん
でいる。日曜日の朝ともなれば、バタッ族のマジョリティを占めるカソリックやプロテス
タントのキリスト教徒が、一番良い服に身を包み、一家をあげて教会に向かう。


9時:トバ湖はおいしいコーヒー豆の産地だ。中でもダイリ(Dairi)で産するシディカラ
ン(Sidikalang)コーヒーは愛好者の間で名を馳せている。

パグルランからシラギッ空港に戻る道程は、北スマトラ州内の名産コーヒーで有名な北タ
パヌリ県とフンバンハスンドゥタン県を通る。前者はルアッやアテン種のタルトゥンコー
ヒー、後者はリントンコーヒーを産する。シラギッ空港までのおよそ百キロの道中に、そ
れらの名物コーヒーを飲ませてくれるコーヒーショップやコーヒー園は少なくない。飛行
機の時間に遅れないように、トバ湖の景勝を愛でながら、うまいコーヒーの本物をその産
地で味わうのは、きっと素敵な思い出になることだろう。[ 完 ]