「都知事選の行方は?」(2017年02月14日)

明日、2017年2月15日は国民の休日になった。大統領が急遽2月10日に行った決
定であり、選挙投票日に有権者が間違いなく投票に参加できるようにするのが目的だ。投
票日を国民の休日にすることは総選挙法で定められている。

今回の選挙は全国地方首長一斉選挙とされているものの、全国すべての州と県市で州知事
・県令・市長の選挙が行われるわけでなく、州知事は7州、県令は76県、市長は18市
で行われるだけ。


今回の選挙では、ジャカルタ都知事選に全国規模の関心が集まっており、このようなこと
はインドネシアで未だ起こったことがない。そこまで関心が高まったのは、各政党の本部
が強力な立候補者を出馬させ、そのバックアップを党の州レベルに任せないで自ら乗り出
してきていることに象徴されている。

正副都知事立候補者三組に総選挙委員会が政策討論の場を用意し、全国放送網を持つTV
局数社がその実況放送を行ったことも前代未聞のできごとだ。討論会は選挙キャンペーン
期間中に三回実施され、キャンペーン最終日は各候補者が自陣営の支持者を集めて三ヵ所
で盛大な大会を催し、往々にして発生する対立候補陣営間の衝突事件はほとんど起こるこ
となく平和裏に完了した。

キャンペーン時の衝突はなかったが、特定候補者に圧力をかけようとするイスラム勢力の
示威デモが何度か行われ、それが今回の都知事選挙で全国規模の関心を誘引する台風の目
になったことも事実だ。その辺りの確執に関する詳細は2016年12月12日から22
日まで連載した「悲運の印尼華人」を参照いただければ幸いです。

その都知事選の結果を占うために、コンパス紙R&Dが2017年1月28日〜2月4日
の間、17歳以上の都民804人に直接インタビューして集めた統計が公表されている。
それによれば、有権者の色付けは次のようになっている。

A)候補者決定済み 71.3%、未決定 7.1%、まだ判らない(浮動票) 21.
6%

B)立候補者ごとの候補者決定済みと浮動票(今のところは○○だが、変わるかもしれな
い)の比率
アグスーシルヴィアナ組 決定済62% 浮動38%
アホッージャロッ組 決定済85% 浮動15%
アニスーサンディアガ組 決定済77% 浮動23%

C)未決定有権者のカテゴリー別比率
1.経済階層
低5.3% 中66.7% 高28.0%
2.年齢層
17〜40歳36.8% 41〜60歳47.4% 60歳超15.8%
3.学歴
低17.5% 中54.4% 高28.1%
4.性別
男性54.4% 女性45.6%
5.支持政党
PDI−P17.5% デモクラッ10.5% ゴルカル8.8% グリンドラ7.0%
PPP3.5% PKS3.5% PAN3.5%

D)浮動票有権者のカテゴリー別比率
1.経済階層
低9.5% 中66.7% 高23.8%
2.年齢層
17〜40歳56.5% 41〜60歳32.7% 60歳超10.8%
3.学歴
低29.9% 中57.1% 高13.0%
4.性別
男性49.7% 女性50.3%
5.支持政党
PDI−P25.9% デモクラッ17.0% グリンドラ9.5% PPP5.4% 
PKS4.1% PAN3.5% ゴルカル3.4% ナスデム1.4% PKB1.4
% ハヌラ1.4%


15日の投票結果が権謀術策に満ちたこの都知事選挙に対する都民の意識レベル並びに各
政党の力を推し測る目途になるのは間違いないとしても、現職候補が勝った時にそれです
べてが収まるとは考えにくい。

現職候補者の宗教冒涜公判はいまだに継続中なのであり、前科のある者は公職に就けない
という法規を忘れてはならないだろう。宗教冒涜事件裁判はそのために起こされたものな
のだから。悲運の印尼華人が最終結末となるかどうか、予断はまだ許されないようだ。