「過激派は女性と子供を奪う(前)」(2017年02月20日)

情報テクノロジーの発展にぴったりと追従して巧みに活用するだけでなく、インドネシア
のダエシュセルは他のアラブ諸国に倣って女性や子供の戦力化を開始した。戦力化とは体
裁のよい表現だが、ひっきょうテロ活動のためにかれらの生命を利用するコモディティ化
にすぎない。その意味で、女性4人と少年(未成年者)5人がテロ容疑者として警察に逮
捕された2016年は、新時代の幕開け(?)とも言える年だった。

女性や未成年者の中にラディカル化されやすい者が少なくないのは、家族や身近な人間の
影響を受けやすいこと、そして社会環境から感じる疎外感に敏感なためだが、とりわけ身
辺にいる信頼すべき人間に対する心服が大きい要因を形成している。


サマリンダで起こったオイクメーネ教会爆弾テロ事件で16歳の少年ギスティは、父親を
手伝うために爆弾材料を購入した容疑で逮捕された。ラディカリズムを信念にする親は自
分の子供にラディカリズムを教育する。

2015年10月にシリアで最初のインドネシア人少年自爆テロリストとして19年の生
涯を終えたウマル・ジュンドゥルハクはイマム・サムドラの実子だ。2007年10月に
処刑されるまで息子は頻繁に父親を獄に見舞い、父親の遺志を継ぐことを決意していた。
家族が子供を積極的にラディカル化に導くこともあれば、反対に穏やかな家庭の子供がラ
ディカル化したのを家族が知らないまま、適切な対応の不在が子供をテロ実行犯にしてし
まったことも起こっている。子供に対する家族の関心の高低がその問題の鍵を握っている
のだ。

メダンのサント・ヨセフ教会爆弾テロ事件を起こしたイファン・アルマディ・ハスギアン
17歳はテロリズム容疑者のひとりAからイスラムの教えを学んだ。そして1千万ルピア
の報酬に釣られて単独テロを計画したことが、ソーシャルメディアに残っていた通信から
明らかになった。


青少年期は子供にとって自分を発見する時期であり、ラディカリズムと接触する際の危険
は実に大きなものがある。ラディカルな教義が優勢になってくれば、その道に志願する青
少年ははるかに厖大な数に達するだろう。平和の碑財団発起人ノール・フダ・イスマイル
氏はそう述べている。

女性は夫の影響を強く受ける。アリンダ・プトリ・マハラニ25歳は夫のM ヌール・ソ
リヒン26歳がテロを計画していたことを知っていたために逮捕された。イカ・プスピタ
サリ34歳は2016年の年末にバリで自爆テロを計画していたことで逮捕された。イカ
は家族の強い影響を受けて「死の花嫁」になることを決心していた。[ 続く ]