「閑職を天下り先に求める大臣」(2017年02月21日)

2016年8月9日付けコンパス紙への投書"Menjadi Diplomat"から
拝啓、編集部殿。一週間前にジョコ・ウィドド大統領勤労内閣のリシャッフルが行われま
した。大臣が数名、勤労内閣での職務を終えたのです。大臣の職を終えたひとりが大統領
に「次の任務はどこにしましょうか?」と持ち掛けられ、かれは「どこか小国の大使にし
てもらって、教育や書き物をする時間を持ちたいですね。」と答えたそうです。

外交官の家庭に生れて、わたしは幼いころから複雑な国際外交の仕事がどういうものであ
るのかを見聞してきました。その大臣が語った言葉はわれわれの共通基盤をなしているイ
ンドネシア統一国家に対する侮辱であるという気持ちをわたしは禁じ得ません。外交官に
なるのは、決して簡単なことではありませんし、のんびりとやっていて勤まる仕事でもあ
りません。海外でインドネシアの存在とその名誉を維持するために、強力な戦略・計画・
ビジョンが必要とされているのです。

小国の大使は時に、大国の大使が担うよりはるかに重い責務を担わなければならないこと
があるのを、一般のひとびとは理解していません。大国というのはたいていの場合先進国
を意味しており、さまざまな種類の業務システムも高いレベルで整備されています。とこ
ろが小国というのは多くのケースでそういうものが確立されておらず、それがために職務
を成し遂げようとする場合、はるかに複雑な動きを強いられるのが普通です。

普通のひとびとは、小国の大使になれば仕事はたくさんないはずだ、と考えています。し
かしそんな想像は往々にして実態と大違いであるというのが現実の姿なのです。
[ 独立宣言者ブン・ハッタの孫、グスティカ・ユスフーハッタ ]