「ダエシュシンパに刑罰を(前)」(2017年02月22日) インドネシアには、外国の軍隊に加わることを禁止する法律はあるが、外国のテログルー プに参加することを禁止する法律がない。その結果、合法的に中東に向かい、トルコから シリア領土内のISIS領に潜入してISISのために働き、ISISイデオロギーと戦 闘技術や戦争戦略を鍛えぬかれて帰国して来たインドネシア人を、そのことで身柄を拘束 して法の裁きを受けさせることができない。 ISISは建国宣言をして自称国家になっているものの、世界中にその国家主権を承認す る国がひとつもない。だからISISの軍隊は外国の軍隊という定義に当てはまらないの だが、物事の本質を見る限りでは、ISISに参加したインドネシア国民はその自称国家 の軍隊に加わっているのである。実に皮肉な構図をわれわれはそこに見出すことになる。 2017年1月中に25人のインドネシア国民がトルコとマレーシアから強制送還されて 帰国した。11日にはプサントレン塾生8人がマレーシアからバタムに送られてきた。こ のグループは師ひとりと生徒7人から成り、マレーシアで各地のプサントレンを親善訪問 して教育指導法の意見交換などを行ったあと、シンガポール経由で帰国しようとしたが、 シンガポール入国の際に不審を招いたために取調べられることになり、全員の携帯電話の 中味がチェックされたとき、ダエシュの旗や戦闘員が写っている画像が見つかったことか ら、シンガポール側は一行の入国を拒否してマレーシアに戻るよう命じた。 マレーシア側は警察反テロ部門がかれらを取調べてからインドネシアに強制送還した。当 然ながらインドネシアでも国家警察が取調べを行ったが、そのグループがダエシュにつな がりを持っているかどうかについては何らの確証が得られないまま一行は放免されている。 次いで21日、トルコから17人のインドネシア国民が強制送還されて来た。トルコ側は その17人がシリア〜トルコの国境を不法越境してダエシュに参加する意図を持っていた として逮捕し、強制的に帰国させた。 その17人は最初からグループだったわけでなく、個別に捕らえられて一緒に強制送還さ れたということで、赤ちゃんから壮年まで年齢的には大きくバラついている。 その中に、元内務省の公務員だった者がいた。かれは勤めをやめてダエシュに参加するた めに妻子を伴ってトルコへ入国していた。勤めをやめてからかれの一家は突然姿を消して おり、強制送還されたことで姿を消した顛末がやっと明らかになったというわけだ。公務 員が過激イデオロギーに洗脳されてダエシュに加わろうとした例は既にあり、大蔵省の公 務員が先に同じことをしている。[ 続く ]