「ダエシュシンパに刑罰を(後)」(2017年02月23日)

この現象はラディカルグループが公務員をターゲットにした結果なのでなく、かれらの狙
いはあくあでも不特定一般の国民なのであり、一般国民と同様に公務員も感化されやすい
者が職業を放棄して吸い寄せられて行くのだ、と内務大臣は説明した。

政府はその状況を重く見て、全行政機構内で反ラディカル化教育をすべての公務員に対し
て行い、ダエシュの目論見に対抗する準備を開始した。


2014年から16年までの間に、トルコ政府は213人のインドネシア人を強制送還し
た。かれらはダエシュに志願するのを目的にしてトルコ入りしたが、トルコ警察に逮捕さ
れており、その志願は実現していない。

一方、ダエシュに加わったインドネシア人は6百人と見積もられている。そしてかれらの
インドネシアへの帰国が2016年から激増した。それは中東でのダエシュの各戦線にお
ける状況と無縁ではないようだ。

テロリズム対策国家庁長官によれば、ダエシュに参加していたインドネシア人のうち5百
人がインドネシア国内に戻ってきているとのことで、このひとびとは既に戦闘訓練や実戦
経験を身に着けた者たちであり、強制送還されたひとびとよりは手ごわい敵になる。ただ
しその身元や所在を政府が把握しているのは一部分でしかなく、国家警察デンスス88と
テロリズム対策国家庁、国家諜報庁、国軍、外務省、金融取引分析報告センターが協力し
てかれらの行動を監視するべく、手を尽くしている。

強制送還されたひとびとは身元も所在もはっきり把握されており、当局はかれらの帰国時
に取調べを行った上で故郷に戻したあと、ひとりひとりの行動を監視している。しかしダ
エシュ参加経験者の中には官憲に気付かれることなく国内に入国して社会に溶け込んでし
まった者も少なくない。


ダエシュ関係者は言うまでもなくインドネシア国内に拠点を設けることを望んでおり、サ
ントソ率いる東インドネシアムジャヒディンが中部スラウェシ州を拠点にしたように、国
内のどこかの地域を自分たちの軍事勢力下に置くことを考えているはずだ。

デンスス88は西カリマンタン州をはじめ、ラディカルグループが拠点を設ける可能性の
ある地方での警戒レベルを高めている。

しかし国外のテロリストグループに加わったインドネシア国民に刑罰を与えるようにする
法律を設けるのが、多数の人間の監視を容易にするどころか、世の中からかれらを隔離す
る最善の方法なのであり、諸方面からは国会に対し、かれらに対する刑罰を反テロ法の中
に加えるよう要請する声が投げ掛けられている。

テロリズムオブザーバーのアル・ハイダル氏は「強制送還された者も、ダエシュ軍で銃砲
を手にした体験を持って帰国した者も、インドネシア国内でテロ行動を実行する可能性は
同じようにある。」と語る。政府と国会は反テロ法を早急に改正し、外国のテロ組織に参
加した者だけでなく、参加する意図を持って出国した者にも同様に、刑罰を与えるように
しなければならない、初期取調べでテロ実施の意図が確定できなくても、かれらがテロ活
動を行わないはずがないのだから、とアル・ハイダル氏は強調している。[ 完 ]