「バンドンで爆弾テロ事件(1)」(2017年03月06日)

2017年2月27日(月)朝8時半ごろ、バンドン国立第6高校三年生の生徒たちがバ
ンドン市チチェンド郡アルジュナ町プンダワ公園で体育実技の授業を終えた。公園内には
一般市民も来ており、またひとの往来もある。

そのとき、少し離れた場所で激しい爆発音が響き、圧力釜に仕込まれた低性能爆弾が破裂
した。中に収められていた釘が八方に飛び散る。生徒たちが爆発音の方角に注意を向ける
と、さっきそこでオートバイに座っていた中年の男がひとり地面に転がっている。生徒た
ちの中の数人がその男を助けようと近寄って行った。

生徒たちの中には、爆発の瞬間を目に留めた者もいた。その男はさっき、別のオートバイ
の仲間と一緒にいたはずだが、仲間は逃げ去ってしまった。奇妙だ・・・

生徒たちが近寄ったとき、転がっていた男はふらつきながら立ち上がった。手には刀身の
長いナイフを持っている。男の倒れていたあたりには、さまざまなものが散らばっている。
後になって警察が発表したところでは、STNK、現金50万ルピア、KTPフォトコピ
ー、その他種々のカードであったとのこと。


しかし生徒たちの関心は人間のほうにあった。公園にいた市民の間から生徒たちに声がか
かった。「テロリストだぞ!」

男は自分に近寄って来る人間をナイフで威嚇しながら、ゆっくりと走り始めた。生徒たち
は反射的に男を追った。市民も何人か、その追跡に加わる。

追跡を避けようとして、男は百メートルほど離れたアルジュナ町役場に走り込んだ。女性
職員の悲鳴が上がる。男は役場建物内の二階に上がってだれもいない一室に隠れようとし
た。追ってきた生徒や市民らがそこを遠巻きにする。役場の男性職員が警察に電話した。


男は最前線にいる生徒たちに挑戦した。「お前ら、度胸があるんだったらここへ来てみ
な。」

生徒たちのひとりがそれに応じた。「パッ、あんたがこっちへ来たらどうだ?ナイフなし
で対決しようぜ。」プンチャッシラッの腕に覚えのある生徒が逆挑戦する。

別の生徒が話しかける。「パッ、あんたはもう逃げられない。武器を捨てて自首したほう
が良い。死ぬよりも、降参したらどうだ?」
「降参なんか、できるか。死ぬのは怖くない。」そう男は答える。

生徒の中には、怯えて動けなくなっている女性職員を抱えるようにして外へ連れ出した者
もいる。まだハイティ―ンだというのに、みんな、なかなかの度胸をしている。

後日、バンドン市長はバンドン国立第6高校を訪れ、この事件で活躍した生徒たちに記念
品を贈って表彰した。[ 続く ]