「ドリアンはあなたを殺すだろうか?」(2017年03月09日)

果物の王者ドリアン。インドネシア人は「ドリアンを食べ過ぎると酔っぱらう。」と言う。
ドリアンで生命を落とすという話をわたしに語ったインドネシア人はひとりもいない。日
本人はたいていドリアンとアルコール飲料のコンビネーションが生命に差し障るという話
を信じているようだが、わたしは何ともなかった。とは言っても、わたしの酒量は微々た
るものだから、信用しないほうがよいかもしれない。わたし自身は上の話について、きっ
と体質の問題だろうと思っている。いや、生命を惜しむひとは無理をしなくてもよいので
すぞ。

インドネシア人がネットに書いている話は、タイへ行って「ドリアンを食べてからソーダ
含有飲料を飲むと生命が危ない。」というもの。専門医は腸内発酵ガスが人によっては危
険をもたらす可能性がないとは言えないが、だれもがドリアン+ソーダ飲料=死亡という
方程式に該当するわけではない、と否定している。

しかし更に、ソーダ飲料ばかりか、牛乳、ココナツジュース、コーヒーまでもがアブナイ
という話になってきている。ドリアンのあとはコーヒーというのがわたしの定番コースに
なっており、数十年そういう嗜好を身に着けてきたのだが、鈍感なわたしには、心臓が早
鐘を打ったり、めまいがしたり、腹部に異常を感じたことなど、一度も起こっていない。


ドリアンという果物はシーズン性のもので、雨季が始まってしばらくすると道端マーケッ
トに山盛りにされて出現する。ところが乾季には、街中を血眼で探しても見つからない。
しかし、あるところにはあって、そこへ行くと季節はずれの珍味を高額の金を取って食べ
させてくれる。そのドリアンはシーズンに仕入れたものを冷凍保存して、シーズンオフに
出してくるのだそうだ。この話はタイ産のモントン種ドリアンが大量に輸入されるように
なり、ジャカルタでドリアンがシーズンレスになる以前の思い出。


ジャカルタには今や、ドリアンファンなら一年中いつでもドリアンを堪能できる場所がで
きている。カリバタドリアンセンター(Sentra Durian Kalibata)では、毎日24時間、ド
リアンのかぐわしい香りが周辺一帯に充満している。

カリバタドリアンセンターは南ジャカルタ市カリバタ英雄墓地が面しているカリバタラヤ
通りの北側道路脇にある。カリバタシティから見て道路の向こう側にあり、貸しホールの
バライマカルティムッティタマの外側という位置関係だ。

そこへ行ってドリアンを買い、その場で割ってもらって、外にあるテーブルに座って味覚
を楽しめる。売場は28ロットあり、つまりは店主が28人いて、客は所せましと山積み
されているドリアンを自由に選ぶ。タイ産モントン種、メダン産モントン種、ペトルッ種、
ブンクル産やパレンバン産など、よりどりみどりだ。価格はシーズンの相場次第。この3
月はシーズンオフだから、国産品は一個で7.5万から8.5万ルピア程度。タイ産の輸
入品はキロ当たりで7.5万ルピア。

他の場所で道路脇に山積みして売られているドリアン売りの相場は1個で6万ルピア程度
だから、カリバタドリアンセンターの価格はちょっと高めということになる。ただし、普
通のドリアン売りの商品は、どれほど品定めしても心から満足できる絶品に出会うことは
きわめて稀だ。カリバタドリアンセンターは品質の良いものばかりを選りすぐって置いて
いる、と販売者は言う。おまけに、常に新鮮なものが揃えられている。その証拠に、もし
も不味いドリアンに出会ったなら、苦情すれば無料で取り替えてくれる。

このドリアンセンターは年中無休で、しかも24時間営業。ドリアン好きにはたまらない
場所だ。ドリアンは臭いばかりで少しも美味しくないから嫌いだとおっしゃっている方は、
ひょっとしたらまだ本当に美味しいドリアンに巡り合っていないだけなのかもしれない。
カリバタドリアンセンターは訪れてみる価値のある場所かもしれませんぞ。