「ウルンダヌ寺院へは早朝に」(2017年03月10日)

デンパサル市から北へ50キロほど離れたバリ島の中心部にブラタン(Beratan)湖がある。
標高1,239メートルのブラタン湖畔に静かなたたずまいを見せて湖面に姿を映してい
るのが、バリ島内に散らばっている天上界の9寺院のひとつウルンダヌ寺院(Pura Ulun 
Danu)だ。ここはタバナン県バトゥリティ郡チャンディクニン村。ブドゥグル地区を越え
て北のシガラジャ(Singaraja)に向かう街道の東側にブラタン湖が広がり、その向こうに
はバトゥル山系がそびえている。

5.5ヘクタールのウルンダヌ寺院域には5つのチャンディがある。チャンディアグンプ
ナタラン(Candi Agung Penataran)、プラダルムプルワ(Pura Dalem Purwa)、プラタマン
ブイジ(Pura Taman Beiji)、プラリンガプタッ(Pura Lingga Petak)、プラプラジャパテ
ィ(Pura Prajapati)、そして更にブッダのストゥ−パがひとつ。ウルンダヌ寺院と一般に
呼ばれているのは、その5つの中のプラリンガプタッのことだ。中には神聖なる井戸ティ
ルタウルンダヌがあり、またリンガの像も祀られ、それが豊穣の泉であることをヒンドゥ
教徒は信じている。

普通の日はそこへ入るための渡橋が外されており、一般観光客は入ることができない。し
かしヒンドゥの祝祭日にはその橋が掛けられ、一般観光客もヒンドゥ教徒と一緒にこの寺
院に詣でることが許される。


ブラタン湖のウルンダヌ寺院はサカ暦1556年にイ・グスティ・アグン・プトゥが建立
した。今は地元の村から世話役が選ばれて管理している。

ブラタン湖を訪れるなら、南部のクタやデンパサルからだと早朝の5時〜6時ごろ出発す
るのがお勧めだ。山に向かう登りの道路は対面2車線で上り下りが多く、また曲がりくね
っている。ホリデーシーズンともなれば、バリ島にやってきた国内外の観光客がそこに殺
到し、大混雑のノロノロ運転を強いられるのが必至だからだ。

午前10時以降に到着すれば、あなたは人間の海の一滴となってしまうのだが、8時〜9
時ごろに到着すれば静かな空気と風景を存分に楽しめる。入場券を買うのに長蛇の列に並
ぶこともない。域内にいるカメラマンに写真を撮ってもらえば、3万ルピアでDanau 
Beratanと書かれたフレームに入れられた記念写真を手にすることもできる。ただし、こ
の一帯は頻繁に霧に包まれるので、早い時間はそのリスクも高いことをお忘れなく。

ブラタン湖で遊ぶこともできる。船に乗って湖上遊覧を楽しむのは10万ルピア程度。サ
ーフボードに乗って、モーターボートで引っ張ってもらうという趣向もある。救命胴衣は
ちゃんと着せてくれる。
ウルンダヌ寺院は午前8時から夕方18時ごろまでが開場時間になっている。

ウルンダヌダナウブラタン観光地区事務所のデータでは、一日平均1千5百人の観光客が
そこを訪れている。2015年の入場者数年間65万人は、2016年に70万人に達し
た。タバナン県の主要観光資源はこのブラタン湖と南部海岸のタナロッ寺院で、しばしば
タナロッ(Tanah Lot)でのサンセット見物がブラタン湖ツアーとのセットにされているよ
うだ。