「ホウクスがインドネシアの弱点(2)」(2017年03月14日)

SARAというプライモーディアルな要素を呑み込んで、複合的な非宗教国家を作るため
のイデオロギーが建国思想の中に潤沢に盛り込まれており、それを国民に広く深く浸透さ
せることで、インドネシア国民を反目離反させて国を崩壊させていこうとする勢力に対抗
することができる。たとえ今現在それらのイデオロギーがまだ国民のマジョリティに信奉
されていても、かれらがサイレントマジョリティであり続けるなら、たとえ今現在は優位
にあっても世代交代によって力関係がどう変化するかわからない。だから国は、そして政
権担当者である政府は、出現して来る現象に対応するばかりでなく、国民の間に大きな社
会運動を作り上げていかなければならないのである。


2016年9〜11月の間、バンドン・ヨグヤカルタ・ソロ・スラバヤ・ポンティアナッ
・マカッサルで年令15〜30歳のひとびと1千2百人を対象にインドネシア開発国際N
GOフォーラムがグスドゥリアンネットワークと共同でサーベイを行った。回答者の88.
2%が宗教に関連して暴力を用いることに反対を表明している。賛成を表明したのは3.
8%しかなく、残る8%は態度を決めかねた。

暴力的宗教に反対するひとたちの見解は次の通り。
ラディカリズムは宗教の教えに反していると考えている層は44.3%。
非人道的であると見ているひとは18.1%。
暴力は宗教を汚す行為であると主張するひとは16.7%。
暴力は法律違反だという考えのひとは9.7%。
他の理由をあげたひとが2.5%。
理由まで説明しなかったひとは8.7%いた。

これを見る限りでは、インドネシアの若者たちは十分に強い暴力反対思想を持っているよ
うに思われる。だが、ラディカリズムに走る者は上で賛成を表明した3.8%しか本当に
いないのだろうか?ましてや、暴力志向の内面性、強い男が優れた人間だという価値観、
連帯感や仲間意識の方が個人の信念より強い動因になる社会のあり方などといった要素を
思い返していくなら、上の数字が示す安心感は陽炎のように揺らぎ始めるのではあるまい
か?

だからこそ、国際NGOフォーラムの法律部門担当主幹が言うように、その平和思想を社
会資本として育成し、それに障害をもたらす要因からかれらを防御し、あるいは障害をも
たらす勢力と闘わなければならないのである。そのためには、若者たちのもっとも近くで
かれらに指針を与える両親の役割がきわめて大きいことに誰しも気付くはずだ。

インドネシアの若者たちの70.3%は宗教教義あるいは信仰の問題について、親からの
指導や助言に従順に従っている。だから親の世代は、最近増加傾向にある宗教不寛容現象
に関連して、昔の寛容だった時代に自分が体験したさまざまなエピソードをもっと子供に
語ることが求められている。[ 続く ]