「外国語の契約書は無効(後)」(2017年03月14日)

次に、商法や契約法は契約の自由原理を認めている。その原理の中には、その契約を支配
する法律の選択、係争解決の場の選択、契約書の中に使われる言語の選択が含まれている。
言語選択の自由原理は、使われる言語が何であるのか、そしてその言語が文書あるいは口
頭のどちらで使われるのか、ということがらを含んでいる。

三つめ、商取引や投資において、英語は既に世界の共通語であるリンガフランカと見られ
ている。英語は国連の公用語のひとつと認められており、アセアンも英語を加盟国間の共
通語としている。

通商の世界でも英語はどこでも通用する共通語として受け入れられているのであり、国語
使用の義務付けによって英語の使用が拒否されるのは、きわめて不適切な対応だと言える。
インドネシア語使用の義務付けがなされたことで生じた不安を鎮め、あるいはその問題を
避けるために、裁判所はたいへん重要なポジションに置かれている。われわれの法システ
ムは先例主義でない。現在直面しているイシューにそれは重要な役割を持っている。最高
裁は下部機構に対して、テクニカルな指示を与えることで、既に出された判例が広がるの
を抑えることができる。


最高裁はまた、ソフトローとしての義務条件のひとつにこの国語問題を規定するテクニカ
ルな指示を出すこともできる。国語法の中に、その条項に違反した場合の罰則規定は何も
ないのだから。

強制力のない義務としてのソフトローは他の法律規範の中にも見ることができる。その例
のひとつは、国際条約に関する2000年法律第24号の第12条だ。第12条は国際条
約に対してインドネシア語の翻訳がなければならないとしているが、現実には公式インド
ネシア語訳が作られていない国際条約は少なくない。

インドネシア語訳がないという理由によって、その国際条約が法律違反であるということ
にはなっていないのだ。インドネシア語訳がないとかまだ作られていないということが、
政府が批准した国際条約を法的に無効な状態にはしていないのである。

法律の施行に関することがらであるため、最高裁の役割はたいへん重要だ。このソフトロ
ー的性質に関するテクニカルな指示を出すことを、最高裁はためらってはならない。政府
や国会も重要な役割を担っている。この国家の最高機関である両者は一緒になって、国語
法第31条を改正し、義務という言葉を条文の中から消さなければならない。

最高裁・大統領・国会の支援が待たれている。契約に使われる言語に関する法的不確定性
状況が早急に正されるよう、国家の三大最高機関の働きを国民と実業界は待ち望んでいる。
[ 完 ]