「沈没軍艦の船体を屑鉄に」(2017年03月20日)

VOCやオランダ植民地の時代にインドネシア海域で沈没した交易船には、多量の財宝が
積まれていた。現代でも大きな価値を持っているその財宝を狙う人間は、インドネシア人
だけでなく、手の汚れている国際的な犯罪者も少なくない。ただ、海底の財宝を盗むのは
ごく稀なケースを除いて、ほとんどが失敗している。たとえ近くの陸地に住む漁民が出来
心を起こして種々の骨董品や他の品物をほんの少し盗んでも、何度かそれを行ううちに足
がついて逮捕されることのほうがはるかに多い。

ならば、第二次大戦中に沈没した軍艦もそんな略奪や盗難のターゲットになるのだろうか?
実はなっているのである。軍艦は財宝を積んでいないが、その代わりに砲弾や爆薬あるい
は武器などを積んでいる。テロリストが欲しがる品物だ。闇ルートで売買すれば金になる
品物であるのは、交易船で得られる骨董品と変わらない。

おまけに船体は鋼鉄製なのだ。インドネシア人にとって、いわゆる屑鉄はそれなりに価値
のあるものである。要するに廃品回収業者がいて、誰でもそこにくずになった金属を持ち
込めば金が手に入る社会構造になっている。だから、いつだれが行ったのか判らないもの
の、船体の一部が切り取られて無くなっているのだ。

スラバヤの沖にあるバウェアン島の近海、深さ100メートルほどの海底に沈んでいるオ
ランダ軍艦や、バンテン湾沖深さ35メートルの海底に沈んだ軍艦も、船体のあちこちが
切り取られてなくなっているのである。


そのバンテン湾に沈んでいるオーストラリア海軍軽巡洋艦パースが略奪の対象になってい
ることに関連して、2014年にオーストラリアのナショナル海洋ミュージアムが遺物の
保存をインドネシア政府に呼び掛けた。

それを受けたのはインドネシア国立考古学研究センターで、同センターは中でも1942
年2月27日から3月1日までジャワ海で行われた大海戦で沈んだ軍艦のマッピングを既
に終え、巡洋艦パースについてはオーストラリア側に協力して遺物保存のモデルケースに
するべく努力を重ねている。

そしてジャカルタの海洋博物館でジャワ海海戦75周年を記念して、去る2月27日から
一年間、展示会がスタートした。この展示会は大日本帝国海軍と渡り合ったABDA連合
軍の各国大使館が協賛し、また各国の海洋博物館や海軍戦史保存部門および東京経済大学
がその開催に協力している。

このジャワ海海戦の詳細については、これがインドネシア>歴史・地誌>月明のジャワ海
に没す、をご参照ください。