「ポンティアナッの赤道の塔」(2017年03月29日) エクイノックスと呼ばれている日には、太陽が赤道の真上にやってくる。そうなれば、地 上は極度に熱せられて熱波が地球の上を渦巻くことになる。特に赤道が国土のど真ん中を 走っているインドネシアではその日、気温が40℃を超えるだろう。 そんなホウクスをたくさんのインドネシア人が信じて、ソーシャルメディア上をこの話題 が乱れ飛んだが、3月21日のエクイノックスデーは平常の気温が記録されただけで通り 過ぎた。17年9月にもう一度やってくるエクイノックスデーにまた同じことが起これば、 よくよくのことだろう。 エクイノックス(Equinox)というのは太陽が赤道線の上を通過する日であり、昼と夜の永 さが同じになる日だ。ラテン語のaequinoctiumに由来する言葉で、英語のequal nightを 意味している。日本では春分の日・秋分の日という名称で呼ばれている。 スマトラ島・カリマンタン島・スラウェシ島を横断している赤道線は西カリマンタン州ポ ンティアナッ市を通る。記録によれば、1928年にオランダ人地理学者をリーダーとす るヨーロッパ人視察団がポンティアナッを訪れ、赤道線が通っている場所を測量して矢印 型の標識を設置した。1930年になってその標識に地球をかたどった輪がかぶせられて、 あたかも矢の横棒が赤道線になるような形に作り上げられた。 1938年になって標識のリノベーションが行われた。更に1990年になって標識を覆 うドームが建てられて標識はその内部に収められた。そのとき、オリジナルの5倍のサイ ズで標識のレプリカが作られ、ドームの上に標識のレプリカがにょっきりとそびえたつ現 在の姿になった。 ところが実際には、その位置が赤道線上から少しずれていたことが明らかになったのであ る。北緯0度0分3.81秒東経109度19分19.9秒が最初に標識の建てられた位 置であり、北緯0度0分0秒はカプアス川寄りに117m下がった位置であることがわか ったため、2005年に北緯0度0分0秒東経109度20分0秒の位置に移されている。 さて、正午に太陽光の作る影が消滅してしまうこの日、赤道線の上でその体験をしようと いうカルミネーションフェスティバルを、ポンティアナッ市が企画した。赤道の塔周辺で さまざまな地元芸能が催され、20余りの地元芸能コミュニティが出演して好評を博した あと、観光客は正午を目指して日影が消滅していく瞬間を体験して愉しんでいた。17年 3月21日から23日までの三日間、この催しのためにポンティアナッ市を訪れた観光客 は5千人に上り、この企画は大きな成功のうちに終了した。