「サイレントマジョリティ(前)」(2017年04月04日) ライター: シャリフヒダヤトゥラ国立イスラム大学教授、インドネシア科学アカデミー 会員、アジュマルディ・アズラ ソース: 2017年1月17日付けコンパス紙 "Mayoritas Diam" サイレントマジョリティの存在はかなり昔から活動家やインドネシアニストたちの関心と 批判のターゲットになっている。その現象は、マジョリティ国民の沈黙が国民の民族生活 ・国家生活に多くのネガティブな影響をもたらしている事実に関係している。 そのコンテキストにおいて、去る1月10日にPDI−P党設立44周年記念の際に党首 メガワティ・スカルノプトリがスピーチの中でサイレントマジョリティに触れたのは、必 要性と時宜を得たものだった。メガワティはアジっぽいそのスピーチの中で、インドネシ ア共和国統一国家・パンチャシラ・45年憲法・ビンネカトゥンガルイカを維持するため にサイレントマジョリティは沈黙をやめてその力を結集する時が来ている、と呼びかけた。 インドネシア統一国家が危機に瀕しているとメガワティは見ているのだ。インドネシアと いう民族国家の全き存在を維持することが困難になっているというのがかの女が感じてい る危機のひとつだ。マジョリティ国民がビンネカトゥンガルイカを具現するインドネシア 統一国家を愛していることを確信しているかの女は、かれらがサイレントマジョリティの ままでは危険であることを指摘した。 マジョリティ国民は、愛するだけでは足りないのである。マジョリティ国民のインドネシ ア統一国家・パンチャシラ・45年憲法・ビンネカトゥンガルイカへの愛はオープンに表 明されなければならない。とりわけ、その四基本国家原理がインドネシアの統一・団結・ 完璧さを損なおうとする勢力からの深刻な挑戦を受けているときには。 メガワティがサイレントマジョリティと呼んだひとびととは、いったいだれなのか?それ は政治的に見るなら、インドネシア統一国家・パンチャシラ・45年憲法・ビンネカトゥ ンガルイカという民族国家の四基本原理を愛し、百パーセントコミットしている国民の絶 対多数を指しているようだ。 そのマジョリティ層とは別に、四基本原理を構えたインドネシア民族国家を拒否し、ある いはそれに懐疑的であるマイノリティがいる。かれらはこの国の総体をカリフ国家やイス ラム国家のような別形態の国家に作り替えようという方向のイデオロギーを抱いている。 政治社会学的且つ政治宗教的な現象として、このマイノリティ層は攻撃的戦闘的だ。デモ クラシーのおかげでかれらは公共スペースを自由に利用し、かれらが望んでいるインドネ シア民族国家の四基本原理にそぐわない目標を謳い上げ、自己顕示を行っている。 その現象に対してマジョリティ国民は反対に受け身になることが多い。かれらの表明に不 賛成だというのに、舞台で演じられるマイノリティ層の催しをマジョリティ層はただ黙し て見守るばかりだ。[ 続く ]