「ラブアンバジョ三泊四日の旅(後)」(2017年04月18日)

コモド島にはコモドドラゴンが1,336頭棲息している。1億3千年前のジュラ紀にで
きたこの島には、昔は3千頭いたと推定されているから、既に半分を下回ったことになる。
だが口伝で語り継がれてきた竜姫伝説が島民にこの恐竜の生き残りを保護する意識を深く
植え付けているため、ドラゴンのサバイバルは安泰であるにちがいない。島民はコモドド
ラゴンを(sebae=saudara)と呼び、祖先を同じくする者だと見なしている。この島には
鹿や猪も棲息しており、それらの動物が島民の狩りの対象になることはない。なぜなら、
他の野獣はコモドドラゴンの食糧になっているからだ。
コモド国立公園管理館のデータによれば、2016年は1〜9月の間に80,532人の
来訪者があり、その7割が外国人だった。おかげで190億ルピアの税外国庫収入が上が
っている。
国立公園訪問者は公園管理館に所属するレンジャーと呼ばれるガイドの案内で、恐竜見物
のために原野に降りる。レンジャーはコモドドラゴンとの記念写真の機会も作ってくれる。
コモドドラゴンは夜になると眠るから、夜間に徘徊することはあまりない。

[20時]
ラブアンバジョ側に戻った記者たちは、空腹を癒すための晩餐の場を漁港近くのカンプン
ウジュン(Kampung Ujung)に求めた。ワルンの立ち並ぶ道路沿いでフレッシュなクラプ
(ikan kerapu)、エコルクニン(ikan ekor kuning)、イカやエビを存分に賞味できる。
観光客に土産物を、と西マンガライ地方特産の織布を売りに来る女性もあった。

[金曜日15時]
翌日は再び船をチャーターしてラブアンバジョからリンチャ島に向かう。高速艇で1時間
半の船旅だ。この島には住民が1,612人いて、やはりコモドドラゴンと共存している。
ただしリンチャ島のコモドドラゴンはコモド島のものより攻撃的なので、住民居住地区は
フェンスで囲ってある。
リンチャ島もコモド島も電気が使えるのは18時から24時まで。ジェネレータによる発
電で、利用者は一日8千ルピアを支払わなければならない。

[18時]
この旅の最後の夜。ラブアンバジョで宿が得られない記者たちは、ついにラブアンバジョ
の郊外に位置するゴロンタロ村のカラオケ店に泊まることになった。
「宿貸しはいつものことだよ。ツーリストを迎えるのは慣れてる。ラブアンバジョのホテ
ルはいつも満室だからね。だけどカラオケ営業するほうが儲かる。一日4百万ルピアの差
が出るよ。」カラオケ店主はそう語った。
この村はかつてスラウェシ州北部のゴロンタロの漁民が住み着いたことから、その名が付
けられたもので、ラブアンバジョの町からそれほど離れているわけではない。
ラブアンバジョの名前にしてもそうだ。バジョ族というのはスラウェシ州南部に住む海の
民で、かれらがフローレス島に渡って来て、その一帯に住み着いた。ラブアン(labuan)と
は元来ラブハン(labuhan)のことであり、港や碇泊地を意味している。そして長い歳月の
中で、陸の民である地元民と混じり合って現在に至っているということだ。
記者たちは三泊四日の旅を愉しみ、土曜日の朝のフライトでジャカルタへ帰って行った。
[ 完 ]