「エロ宗教師が捕まる」(2017年05月05日)

ムスリムがマジョリティの田舎へ行くと、宗教師というのはたいてい地元の有力者になっ
ている。イスラム教を深めたひとなのだから、知識人であり、世人のお手本になるだけの
高い人間的クオリティを有していると一般のひとびとは見なして当然だ。ところが、どれ
だけ宗教をきわめようが、人徳を積もうが、セックスにつまずいて転ぶのは人間の常であ
るにちがいない。

期待されている高い人格がひっくり返ったなら、ひとは裏切られたという思いを抱く。も
ともとそんなことをやりかねない、と思われていた人間がそれをした場合とは段違いの反
応が返って来るのも当然だろう。


リアウ州プララワン県パンカランルスン郡プサグアン村で隣近所の子供たちに宗教塾を開
いて教えているブディ45歳は、北スマトラ州から移り住んだ者だ。村人からは大きな尊
敬を受けている。ブディが自宅で開いている塾には、中学8年生の女子生徒が7人、勉強
しにきている。

勉強の内容はアラビア文字で書かれたアルクルアンを声を出して読み、その意味の講釈を
聞くのがメインで、他にも節をつけて聖なる章句をアラビア語で歌うアッラーへの賛歌ジ
キルも習う。

塾での勉強はインドネシアのどこでも行われているような内容であり、何の問題もなく続
いていたが、女子中学生8人に囲まれたブディ先生は、良からぬことを考えついたようだ。
「わしは超能力を持っており、この能力をお前たちに分けてあげたい。この能力を身に着
ければ、イスラムの勉強はなんでもすぐに頭に入るようになるし、ジキルだって聞く人が
驚くように上手に歌えるようになる。この能力を分けてほしくないか?」
少女たちは目を輝かせて「欲しい、欲しい」と口々に言う。

「そのためには身を清めて、プニティサンの儀式を受けなければならない。プニティサン
の導師が受ける者の身を清める。家のマンディ場か近くの川で身を清めてから、プニティ
サンの儀式を行う。儀式は夜だ。そしてこの儀式を受けたことを他人に知られてはならな
い。親兄弟にも秘密にするのだ。もし知られてしまえば、せっかく移した能力が身から落
ちてしまう。用意ができた者は夜にわしの家に来なさい。」

こうしてブディは7人の少女の肉体を弄ぶ仕掛けを作って、いけにえが来るのを待った。
自宅のマンディ場で行ったこともあるが、川で行うほうが多かったようだ。一晩にひとり
ずつ、少女を全裸にして体を洗い、手はついついと下の方に向かう。性器をいじくりまわ
すだけで終わった子もあれば、川の中で性交に至った子もある。

そしてついに生徒の一人が親に告げ口をした。親は子供をブディの塾へ行かせている隣人
の家に駆け込む。隣人は子供を呼んで、ブディに何をされたのかを問いただす。こうして
村中がエロ宗教師の話で湧き上がった。男衆の怒りはただでは収まらない。険悪な空気が
村を覆った。

親の一人がエロ宗教師を警察に訴えた。警察はリンチ殺人を心配して村にすっ飛んで来る。
ブディの家には険悪な表情の村人が三々五々集まっていた。かれらが来たとき、ブディの
家は空っぽだったそうだ。村内の空気が伝わったとたん、ブディは自宅から逃げ出して、
村の一隅に隠れたのだ。

警察は村人を伴ってブディを探し、夕方になってやっと発見して警察署に連行した。警察
がブディを連れて村を去ると、ほとんど同時にブディの家と壊れている中古自動車が燃え
上がった。警察は出火の原因を調べている。