「グリーン観光村ビレバンテ」(2017年05月11日)

ビレバンテ(Bile Bante)村は西ヌサトゥンガラ州中部ロンボッ県プリンガラタ郡にある。
もともと貧しかった村は、砂採取業者に砂を売って収入を増やす道を歩み始める。村が自
ら環境を破壊しつくしてしまえば、砂がなくなったときもはや立ち直ることが不可能にな
る。

人口3,873人の村人のうち32人の若者たちが村の経済を正しい道に戻さなければな
らない、と決意して立ち上がった。村をグリーン観光村にして観光客を誘致し、ロンボッ
の農村生活に触れてもらう。そのために村を活発で華やかな農村にしなければならない。
2016年9月5日にグリーン観光村ビレバンテが活動を開始した。村の自主企画を地元
政府もサポートする。村人たちに対して家庭生活や農業活動に関する学習会が開かれて農
村の本来のあり方が指導され、穀物・稲・野菜をはじめ、果樹園も設けられている。ドイ
ツ国際開発機関(GIZ)もこの村に手を差し伸べ始めた。


ビレバンテ村の観光パッケージは自転車での村巡りだ。Bilebante Family Ride 半日ツア
ーはひとり22万5千ルピアで4キロの道程を自転車で走る。ローカルの伝統食事料理と
コーヒーあるいは新鮮なココナツジュースも供される。

ヤシの葉脈で帽子を編んでいる村人の工房を訪れ、ヒンドゥ寺院(pura)のリンサルクルッ
(Lingsar Kelud)を訪れ、一部アスファルト、一部コンクリートの村道、そして一部は土
のままの田んぼのあぜ道をも通る。道程は平坦で、走行は楽なはずだが、チャレンジもあ
る。


気を付けなければならないのは、1940年に設けられたカランイデ部落のジュンバタン
リメという水田の水路が5つに分岐している場所の5百メートルほど手前のあぜ道だ。道
幅は40センチほどしかなく、ところどころに盛り土があったり、穴の上を草が覆ってい
るところがある。

片方は水田、片方は水路という狭いあぜ道でバランスを崩すだけで、どちらかの水の中に
落ちてしまう。そこにきて盛り土や穴の障害が、本人は崩したくないバランスをご丁寧に
崩してくれるのである。自転車に自信のない方は着替えを持って行くほうがよいだろう。
半日ツアーは午前7時と15時半が開始時刻だ。朝の新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んで
自転車を走らせるのがお好きな方と、日没前の夕刻の空と自然環境の変化を楽しみたい方
のお好みに合わせて、時間が分けられている。ただし自転車は10台しかないので、早め
の予約は不可欠だ。16年9月5日に開始されたこの自転車ツアーは17年4月初までに
3百人の利用者を数えた。アイルランド、ドイツ、フランス、ティモールレステから来た
外国人や、地元ロンボッ島の他の地区からも利用者が来ている。

プラリンサルクルッは村人の中のヒンドゥ教徒が祝祭のたびに利用している。このプラは
1922年に建てられたもので、マジョリティがムスリムであるロンボッ住民が異宗教徒
を高い寛容性で受け入れ、共存しているかの実例をわれわれはそこに見ることができる。