「パラダイムと言語の規則性」(2017年05月26日)

ライター: インドネシア大学文学部教授、アントン・M・ムリオノ
ソース: 2002年11月2日付けコンパス紙 "Paradigma dan Keteratuan Bahasa"

2週間前にこのフォーラムでサロモ・シマヌンカリッがインドネシア語単語形成のパラダ
イムについて、部分的に触れた。ber-、ke-、me-、pe-などの接辞を解説する教本には出
ていないが、派生語形成におけるパラダイムの適用、あるいはそのパターンというのは関
連する語形を示すものなのである。

このパラダイムが学習者に教えられていないために、さまざまなレベルの学校修業者が
persatuan、penyatuan、kesatuanの語形を認知してはいても、その適切な意味の違いを説
明できないのはたいへん残念なことである。

パターン(1)動詞ber-
bekerja-pekerja-pekerjaan
bertani-petani-pertanian
berubah-peubah-perubahan
bersatu-0-persatuan
bermukim-pemukim-permukiman
このパターンは形式上の規則的な関連性を示している。
bertani: petani=bertaniする人、pertanian=bertaniすること
berubah: peubah=berubahするもの、perubahan=berubahすること
bermukim: pemukim=bermukimするもの、permukiman=bermukimする場所

パターン(2)動詞meng-
menulis-penulis-penulisan-tulisan
menyatukan-penyatu-penyatuan-satuan
menyalin-penyalin-penyalinan-salinan
mengubah-pengubah-pengubahan-ubahan
このパターンも形式上の規則的な関連性を示している。
menulis: penulis=menulisするもの、penulisan=menulisする行為、tulisan=menulisの結
果
mengubah: pengubah=mengubahするもの、pengubahan=mengubahする行為、ubahan=mengubah
の結果
インドネシア語ではperubahanとpengubahanの意味が異なっていることを、上のいずれの
パラダイムも明らかに示している。たとえば、Jakarta berubah banyak; perubahannya 
terasa sekali.という文とPanitia ad hoc mengubah undang-undang dasar. Pengubahan-
nya makan waktu lama. Ubahannya (hasil mengubah) diajukan ke rapat pleno. Undang-
undang dasar mana pun tidak dapat berubah sendiri, tetapi harus ada orang yang 
mengubahnya.という文を比較してごらんなさい。mengubahのプロセスに注目するなら、
amendemenという言葉がpengubahanに対応していることがわかるだろうし、またその結果
に着目するなら、ubahanにも対応していることがわかるだろう。

パターン(3)動詞member-とmemper-
memberdayakan-pemberdaya-pemberdayaan
memperoleh-pemeroleh-pemerolehan-perolehan
この第3パターンも既出のパターンと同列であることを示している。pemberdaya; member-
dayakanするもの、pemberdayaan; memberdayakanする行為あるいはプロセス。
パターン(3)が納得できるのであれば、pembelajarとpembelajaranという言葉の意義を
われわれは修正しなければならない。このパラダイムに従えば、pembelajar; 
membelajarkanするもの(インストラクター)、pembelajaran; membelajarkanする行為あ
るいはプロセス(インストラクション)、pemelajar; mempelajariするもの(学習者)、
pemelajaran; mempelajariする行為あるいはプロセス(学習)となるのである。
現代インドネシア語がより規則的で原理に忠実になるようにわれわれが育成発展させたい
派生語形成プロセスパターンがこれなのである。それから外れた日常用語はまだまだたく
さんある。たとえばsaringan, gantungan, timbangan, ayunanのように、結果を示すべき
形が道具を示すのに使われている。われわれはそれらを原理に外れたものと見なし、
penyaring, penggantung, penimbang, penggayunに変えていかなければならない。

パターン(4)名詞ke-an、keber-anとketer-an
接辞ke-anの形態は性質・観念・コンセプトなど抽象的ことがらを示すものだ。次のパラ
ダイムに注目せよ。satu-kesatuan, bermakna-kebermaknaan, terpuruk-keterpurukan

サロモ・シマヌンカリッが指摘したpemimpinとpimpinanにも触れなければならない。パタ
ーン的には、この並びは次のようにならなければならない。
memimpin-pemimpin-pemimpinan-pimpinan
pemimpinはmemimpinする人を指し、pimpinanはmemimpinの結果を示している。規則的系統
的言語使用者は逸脱や違反を少なくしようと努めるだろうし、世間に定着した誤用にも簡
単に降参しないだろう。