「留学ビザ制度が発足」(2017年05月29日)

世界に開かれた大学というステータスに向かって、インドネシアの大学界は国際化を進め
ている。QS世界大学ランキングに入るインドネシアの大学はまだまだ少ないが、そのよ
うな努力を重ねて行かなければ、世界から認められる大学の末席に加わることすら難しい
にちがいない。

インドネシアに留学する外国人に対する就学と在留の許可はこれまでCシリーズの在留ビ
ザが使われていたが、スチューデントビザを新たな一項目として持つ方向性が法務人権省
イミグレーション総局にできあがった。

これまでもしばしば行われている交換留学生活動では、インドネシア人学生は訪問先国の
在インドネシア大使館からスチューデントビザが支給されているというのに、インドネシ
アにやってくる外国人学生はみんな観光ビザで入国してきているのが実態だったのだ。


留学は、大学側と外国の一個人の間ですべてが決まるものではない。大学は高等教育界を
統括しているリサーチ・テクノロジー・高等教育省に届けを出し、同省の科学技術高等教
育制度総局が法務人権省イミグレーション総局と手続きを行って留学生の受入れ可否を決
めている。

たとえ原則が受入れ可であってもビューロクラシーを避けることはできず、特に複雑でや
やこしく、さまざまな書類を要求する面倒なインドネシアのビューロクラシーは定評ある
ところであり、ビューロクラシーをうまく通過できなければ本筋の留学自体が危うくなっ
てくる。

かつては、ビューロクラシーが何か月も終了せず、そのために外国人留学生が正規のビザ
で入国することが遅れに遅れたり、おまけに添付書類が紛失するといった致命的な問題が
発生してビザが発行されなくなるということさえ繰り返し起こっていた。そうなると留学
生を受け入れようとしていた大学がリサーチ・テクノロジー・高等教育省にクレームを出
してくるし、留学生本国の在インドネシア大使館までもが同省に苦情を申し入れてくる。
外国人留学生を包括的に管理している同省科学技術高等教育制度総局高等教育機関育成局
がその矢面に立たされ、イミグレーション総局との間でぎくしゃくした問題処理に追いや
られることになる。


この問題を抜本解決させるために、科学技術高等教育制度総局とイミグレーション総局の
間でスチューデントビザとサービス統合に関する協力覚書が17年5月に交わされた。イ
ミグレーション総局は留学ビザの制度化をはかって業務のシステム化を促進させるのが、
その覚書の帰結となるわけだ。今後の留学ビザ申請に対しては、一週間程度で手続きが完
了するようになると見込まれている。

この留学ビザの制度化と同時に、リサーチ・テクノロジー・高等教育省が進めている国際
レベルのプロフェッサー招聘活動にも、ビザの便宜が図られるようになる。


インドネシアの高等教育機関に就学している外国人、つまり外国人に与えられた就学許可
の数は、高等教育機関育成局2016年データでは6,967人だった。その就学許可が
イミグレーションの発行する入国ビザとインドネシアに到着してから行う在留許可の手続
きを支える根拠になる。

留学生の数を国別に並べると、次のようになる。
ティモールレステ 2,107
マレーシア 1,217
タイ 659
中国 456
韓国 309
日本 217
ドイツ 156
オランダ 139
フランス 136

また就学している学科のトップファイブは次の通り。
外国人のためのインドネシア語 717
医学 628
マネージメント 335
土木工学 277
経営学 207