「西ジャワはテロリストの孵卵場」(2017年06月06日)

17年5月24日にジャカルタのカンプンムラユターミナルで起こった自爆テロ事件は、
現在インドネシアでもっとも活動的テログループのひとつ、ジャマアアンサルッダウラ
(JAD)によるものであったことが明らかにされている。このテロでは、交通警官3人
と自爆者2人の合計5人が死亡した。JADが計画した中央ジャカルタ市パサルスネン五
叉路にある警官詰所へのテロ襲撃計画は、2016年12月にデンスス88がジャティル
フルダムで水上生活していた一味を摘発して未然に防いだが、2月にはバンドン市内チチ
ェンドでJADのテロリストが警察に射殺されている。

平和の碑財団発起人ノール・フダ・イスマイル氏によれば、西ジャワのJADセルは中部
ジャワ・バタム・スマトラ・カリマンタン・スラウェシなどにあるセルよりも展開がスム
ースであるとのこと。「西ジャワには支持者がはるかにたくさん散在しており、これまで
眠っていた支持者らがダルルイスラムへの支持の話をカリフという言葉に入れ替えるだけ
で、すぐに起き上がって来る。休眠中のラディカルグループは西ジャワにたっぷり存在し
ており、西ジャワのJADにとってはそのメリットがきわめて大きい。西ジャワでISI
Sと連絡を持っているグループは、容易に横のつながりが作られている。それはかれらが
家から家を転々としながら戦闘訓練を行っているためだ。そんな要素のために西ジャワの
JADセルはたいへん迅速に拡大強化されている。特に圧力鍋爆弾の製造については、大
きな力を蓄えている。
ジャカルタはかれらが力を示すための一大舞台だ。かれらはジャカルタに潜入して陣容を
拡大させるだろう。早めに手を打ってそれを止めて行かなければ、かれらはジャカルタの
もっと戦略的な部分を狙って攻勢をかけてくるかもしれない。」


インドネシア大学テロリズムオブザーバーのリッワン・ハビブ氏は、反テロ部隊がテロを
準備しているテロリストを逮捕できるよう法整備が早急に求められており、テロリズム犯
罪撲滅に関する2003年法律第15号の改定版を早急に施行しなければならない、と主
張している。その改定法案は現在国会と政府の間での検討プロセスに入っている。「これ
まで法規は明確さを欠いていたため、テロ行動を計画している者たちを留置するのが困難
だった。皮肉なことに、かれらを事前に捕まえても釈放せざるを得ず、釈放されたかれら
は程なく計画していたテロを実行するという実例も存在している。反テロ法の改定は早急
になされなければならない。」


JADのコーディネーションシステムを当方は既に見破った、と国家警察広報部長が表明
した。リクルートに使われているソーシャルメディアはテレグラムがメインであり、警察
はテレグラムのメッセージグループの監視を行っている由。「かれらは携帯電話による通
信を警察が探知していることを知っている。警察もかれらの最新コーディネーションシス
テムを見破っている。」との広報部長の談。