「身分関係を無視する敬語の会話」(2017年06月16日) 2016年11月29日付けコンパス紙への投書"Melestarikan Kromo Inggil"から 拝啓、編集部殿。2016年11月14日(月)、コンパス紙はヨグヤカルタ特別州・中 部ジャワ州・東ジャワ州政府の必須プログラムについて報道しました。特定の日には敬語 ジャワ語(クロモ)を話さなければならないという決まりです。 そのプログラムは2016年11月8〜12日にヨグヤカルタで開催された第6回ジャワ 語コングレスでの決議の一つでした。インドネシア国民のおよそ6千万人が使っているジ ャワ語は使用階層が複雑なために、話者にとっては難しいものです。 2007〜2009年にわたしが統率した「スラカルタと周辺地区における若年世代のク ラマジャワ語の保存と開発モデル」と題する調査から、ジャワ人青年層のクラマジャワ語 の会話能力が悲しむべきレベルであることは分かっているのです。インタビューに対して、 かれらはインドネシア語で答えていましたから。 ご存知の通りジャワ語には、年齢・親族関係・役職・教師と生徒のような社会的階層など 会話相手の文化社会面における階層レベルに従ってゴコ(ngoko)、クラマ(krama)、クロモ インギル(kromo inggil)が使い分けられています。だから、ジャワ語コングレスの決定は 適切さを欠いているのです。親が子供に対してクラマを使うのでしょうか?嫁と姑、教師 と生徒、県令と郡長などにも、同じことが言えます。 わたしが思うに、特定の日には社会文化ファクターに応じて正しく適切なジャワ語を使う よう命じるのが、もっとも適切なあり方ではないでしょうか。ジャワ人が暮らしの中で、 結婚・引越し・親族の一員の年忌などといった真剣な問題を話す場合、文化的に標準化さ れたゴコ様式が存在しています。クラマ様式もそうで、マドヤやクラマデサのように標準 化されていないものもあります。 以上です。このアドバイスが有益であるよう願っております。 [ 3月11日大学大学院言語学教授、エディ・スブロト ]