「チレボンに新しい博物館がオープン」(2017年06月23日)

ジャワのイスラム化のもっとも古い時代に活躍したワリソゴ(Wali Songo 九聖人)のひと
り、スナン・グヌン・ジャティが築いたチレボン王国は、たくさんのムスリムにとって一
度は訪れてみたい場所だ。その証拠に、スナン・グヌン・ジャティの墓所を訪れる参詣者
は絶えることがない。

チレボン王国の王が依然として現在も王位を保っているのは、ヨグヤカルタやソロの王宮
と同じだ。インドネシア共和国が成立したとき、全国の諸王は共和国の支配に服すること
を承認した。だから共和国の中に王宮がたくさんあって、たいていはスルタンと呼ばれて
いる王様がいまだに現存している。チレボンのカスプハン王宮(Keraton Kasepuhan)では、
第十四世スルタンが王位に就いているのである。

そのカスプハン王宮が、宮廷の宝物庫にしまわれていた歴史豊かな品物を展示するための
博物館を2017年6月10日にオープンした。王宮の敷地内に設けられた面積1千平米
のカスプハン王宮遺物博物館(Museum Pusaka Keraton Kasepuhan)は年中無休で、9時か
ら17時まで開館している。

博物館内にはカフェテリアや土産物売店が併設され、遺物展示場は照明の行き届いた55
の展示ケースに、王国の歴史を示す遺物が陳列されて、チレボンの歴史ばかりか、イスラ
ム化の一隅さえも目にすることができる。特にスナン・グヌン・ジャティに関わる遺物に
関しては、パスワードがなければ開くことのできない鉄製扉を備えた特別室内に集められ
ていて、その部屋が一般公開されるのは毎週金曜日だけとされている。

カスプハン王宮でこれまで遺物の展示が行われていなかったわけではない。王宮本館の近
くに設けられた遺物博物館(Museum Benda Kuno)には、5世紀の歴史を持つと言われるガ
ムランスカティ(Gamelan Sekati)や、スナン・グヌン・ジャティに中国王宮から嫁して来
たオン・ティン姫(Putri Ong Tien)が持って来た中国食のための道具類が展示されている
が、空調設備がなく、また照明も適切さを欠いていたため、評判はあまりよくなかった。
新設の博物館は、それらの弱点をカバーしたものになっている。

中央統計庁データによれば、2015年にチレボンを訪れた観光客は686,121人で
あり、その一方、カスプハン王宮を訪れた観光客は126.129人で、この新設博物館
がチレボンへの観光客増加に貢献することを期待している、と王宮側は語っている。