「ギアニャル県を観光する」(2017年07月05日)

デンパサル方面からギアニャル県スカワティ郡のラヤバトゥブラン(Raya Batubulan)通り
そしてシガパドゥ(Singapadu)通りを北上してウブッ(Ubud)の町へ向かうとき、道路の両
脇に並ぶ民家の表にさまざまな石像が置かれているのをわれわれは目にする。「さすがは
バリだ。アートが日常生活の中に息づいている。」と誰しもが思う。中には「欲しいなあ」
と垂涎のため息がもれるような傑作も飾られている。もしため息がもれたら、車を止めて
その家の主に尋ねればいい。「表の像を買いたいのですが・・・」。そう、飾られている
ものはたいていが売り物なのだ。

シガパドゥ地区は砂岩あるいは砂岩の粉末をセメントに混ぜたものから像を刻み出す彫像
芸術センターだ。そこでは男も女も石像を彫る。そしてできあがった石像を家の表に飾り、
販売しているのである。

ウブッ(Ubud)へ向かう観光客はまず間違いなくスカワティ郡を通る。スカワティの一般マ
ーケットやアートマーケットで売られている商品は、観光地の土産物店で買うよりはるか
に低価格だ。なにしろ、観光地の土産物店が商品をそこから仕入れているくらいだから。


ギアニャル県の観光産業はウブッに始まった。ドイツ人ウォルター・スピースが1920
年代に住み着いて以来のことである。スピースの後を追うかのようにルドルフ・ボネやア
リー・シュミットたちがオランダからやってきた。ネカ美術館創設者のパンデ・ワヤン・
ステジャ・ネカ氏は「かれら外国の芸術家たちはアートの心を持ったバリ人に影響を与え
て、モダンアートを開花させた。」と述べている。バリのひとびとは伝統絵画とモダン絵
画を織り交ぜながら、新しいアートの創造を続けている。ウブッ周辺の村々は昔から絵画
や彫刻の村として知られたところであり、その昔バリ観光に来れば、宝石や銀細工の村、
織物やバティック布の村などと一緒に必ず絵画や彫刻の村に観光客は案内されていた。

おかげでウブッ一帯には、ラッナワルタ美術館(Museum Ratna Warta)、アグンライ(アル
マ)美術館(Museum Seni Agung Rai (ARMA))、ネカ美術館(Museum Seni Neka)をはじめさ
まざまな美術館やアートギャラリーが集中している。

アジアのトップ観光地のひとつとして定評を得ているウブッは確かにギアニャル県の表看
板だが、ウブッがすべてというわけでは決してない。ギアニャル県を北から南まで貫いて
流れているパクリサン(Pakerisan)川流域には、10世紀ごろバリ島に興った古代王国の
遺跡が少なくない。タンパッシリン(Tampak Siring)のチャンディグヌンカウィ(Candi 
Gunung Kawi)やティルタンプル(Tirta Empul)、あるいは瞑想にふけるための修道場。

歴史観光だけでなく、もっと活動的なプログラムなら、アユン(Ayung)川のラフティング
やクラマス(Keramas)ビーチでのサーフィン。動物を見るならサファリアンドマリンパー
ク。


ではギアニャル県の豊かな観光スポットを見ていこう。

北の山岳部にはティルタンプル寺院(Pura Tirta Empul)とチャンディグヌンカウィ(Candi
 Gunung Kawi)

トゥガララン(Tegallalang)地区にはトゥラガワジャ寺院(Pura Telaga Waja)

ウブッ地区にはさまざまな美術館(ネカ美術館(Museum Seni Neka)・プリルキサン美術
館(Museum Puri Lukisan)・アグンライ(アルマ)美術館(Museum Seni Agung Rai (ARMA)
)・ラッナワルタ美術館(Museum Ratna Warta)・ドンアントニオブランコ美術館(Museum 
Don Antonio Blanco)等)、ウブッ王宮(Puri Saren Agung)、ウブッモンキーフォレスト
(Mandala Wisata Wenara)

ウブッとギアニャルの町の中間にはゴアガジャ(Goa Gajah)

ギアニャルの町の東方に水遊びを楽しめるWaterboom Bukit Jati

ギアニャルの町から海岸へ下れば、ルビビーチ(Pantai Lebih)、サファリアンドマリン
パーク(Safari ang Marine Park)、クラマスビーチ(Pantai Keramas)

更に西側のスカワティ郡にはバリ動物園(Bali Zoo Park)、バリバードパーク(Bali Bird
 Park)、スカワティアートマーケット(Pasar Seni Sukawati)、トゥグヌガンの滝(Air 
Terjun Tegenungan)
がある。

ウブッ一辺倒でなく、ギアニャルの自然と文化を広く満喫したいものだ。