「観賞魚ベタの販売センター」(2017年07月24日)

インドネシアの観賞魚チュパン(cupang)は日本でベタあるいは闘魚と呼ばれている淡水魚
だ。インドネシア、タイ、ベトナムで産するものが世界最高級とされている。独特のヒレ
と色を持つこの魚はきわめて闘争的なため、ひとつの水槽に一匹だけで飼われるのが普通
なようだ。種類はハーフムーン(halfmoon)、プラカッ(plakat)、ジャイアン(giant)、ス
リッ(serit)などがある。

体の色が三色で、ヒレに割れや傷のないものは、価格が一匹15万ルピアにものぼる。種
類とヒレの完璧さ、体のサイズや色などによって、価格は違ってくる。標準的なものは一
匹5〜8万ルピア、クオリティのよくないものは1.5〜3万ルピア程度。そんな価格で
さまざまなチュパンが販売されている場所が西ジャカルタ市スリピ(Slipi)地区にある。

1980年代からスリピ地区はチュパン養殖販売のセンターとしてその名を知られてきた。
その結果チュパンは市のアイコンのひとつに取り上げられている。スリピとその周辺地区
で養殖している業者のビジネス振興をバックアップすることを計画した市は、トゥブンIII
通り(Jl. kS Tubun III)に2007年、チュパンのビジネスセンターを設けた。その名も
Gedung Sentra Promosi dan Pemasaran Ikan Hias Slipiという2階建ての建物がそのビジ
ネスセンターで、今では150の養殖生産事業者が商品をそこに展示している。


このセンターへの道順はトランスジャカルタバス第9コリドーでスリピ・クマンギサン停
留所(halte Slipi Kemanggisan)まで行き、そこからムナラペニンシュラホテル(Menara 
Peninsula Hotel)北側のスリピI通りを5百メートルほど東行してからプタンブラン(Pe-
tamburan)VB通りに右折し、その道をまた5百メートルほど南下してスリピIII通りがト
ゥブンIII通りと交差するところまで歩かなければならない。自動車を使うほうが無難で
あるのは間違いあるまい。こうしてKawasan Minapolitan Cupang Hias Slipiと書かれた
ガプラまでやってくれば、あとはそのエリアの一番奥にある二階建ての建物を目指すだけ
となる。

バレーボールコートくらいの広さのスペースに幅15センチ高さ20センチの水槽が何列
も並べられ、各列には25個の水槽が並んでいる。そこに養殖生産事業者が委託した見本
のチュパンが入れられている、ということだ。この場所にやってくるひとは、一日に10
から30人程度で、市場という雰囲気はあまりない。一匹だけ買うひとはほとんどおらず、
たいてい1〜5百匹ほどのまとめ買いをする。中には外国人も混じっていて、シンガポー
ルやマレーシア、そしてヨーロッパ人の姿を見ることもある。

チュパン愛好家には絶対に一見の価値あるジャカルタのパサルではあるまいか。