「国立美術館で稀な絵画展示会」(2017年08月14日)

大統領宮殿所蔵の絵画彫刻など芸術作品は数千点という膨大な数にのぼる。初代大統領ス
カルノがインドネシア人芸術家のパトロン役を務めて、かれらの作品を買い上げてやった
ことがその発端になっている。もちろん、インドネシアに魅されて住み着き、愛するイン
ドネシアの風景や民衆を描いた外国人芸術家たちも例外にはされなかった。

それらの膨大な芸術作品はインドネシア国民の財産であるとの考えから、現政府は昨年か
ら国民の月である8月に大統領宮殿所蔵芸術作品の展示を行うようになった。この201
7年8月は第二回目で、中央ジャカルタ市ナショナルギャラリーで展示会が8月2日から
30日まで開催されている。

今回展示されているのは41人の作者による48作品で、もっとも古いものは植民地時代
にヨーロッパでその才能を称賛されたラデン・サレやモオイインディスタイルのアブドゥ
ラ・スリオスブロト、ワキディ、マス・ピルンガディたち、大統領宮殿お抱え画家となっ
たバスキ・アブドゥラとドゥラ、ジャカルタ知事を勤めたことのあるヘン・ガントゥン、
ピタマハ派の巨匠イダ・バグス・マデ・ポレンなどの作品が含まれている。

民衆派画家のヘンドラ・グナワン、トルブス・スダルソノ、抽象派のアフマッ・サダリ、
ADピロウス、外国人画家ではドイツ人ヴァルター・シュピース、オランダ人リース・ミ
ュルダーとルドルフ・ボネ、スイス人テオ・メイヤー、中国人リー・マンフォンたちの作
品もある。


ギャラリーの中へ入っていくと、バスキ・アブドゥラが1942年に描いた作品「Pantai 
Flores」が訪問者を迎えてくれる。その一帯にはラデン・サレの1863年作品
「Harimau Minum」やモオイインディスタイルの大作が続き、そしてボネやリース・ミュ
ルダー、リー・マンフォンらの作品も並べられている。特に興味惹かれるのは、写実派美
人画家のバスキ・アブドゥラが描いたニャイ・ロロ・キドゥルで、インド洋の波間に現れ
た美しいニャイ・ロロ・キドゥルの姿にわれわれは出会うことができる。

政府はジャカルタのナショナルギャラリーだけでなく、ソロ、ジュンブル、バリでも協賛
展示会を実施し、大統領宮殿所蔵の芸術作品の一部をそれぞれの都市で展示して、国民が
それらをより身近に感じることができるように配慮している。

2016年の展示会でナショナルギャラリーに入場した一般来訪者は3万5千人だったと
政府観光大臣は語った。今年の展示会は5万人が目標だそうだ。