「甘える怠け者」(2017年08月15日)

ライター: コラムニスト、アグス・ヘルマワン
ソース: 2017年7月23日付けコンパス紙 "Warga Kota yang Manja"

歩行者と歩行のためのファシリティに、また関心が集まっている。首都の歩道が依然とし
て安全快適でないのは、歩行者のためのファシリティが適切でないからとばかりも言えな
い。都民自身が歩行者を尊重しないふるまいを頻繁に行っている事実も見逃すわけにいか
ないのだ。他面、甘えの勝った都市住民は歩くことを嫌がり、毎日ジャカルタの交通渋滞
を激化させることに力を貸している。

世界で一番歩くことを嫌がる人間にインドネシア人が選ばれたのは、世界に誇れないわが
国の一面だ。その結論は米国スタンフォード大学の研究者が70万人からアーガスという
アプリを使って集めたデータに基づいて発見した。データを集めるのに、アクティビティ
を観測するその携帯電話アプリが使われたのである。

サーベイ結果によれば、もっともよく歩く国民のトップは香港人で、かれらは毎日平均6,
880歩を歩いている。一日平均3,513歩しか歩かないインドネシア人と比較してみ
てほしい。


そのサーベイに異論を唱える必要はない。日々の実態がそれを証明している。歩行者にと
って安全快適でないファシリティから気候に至るまで、さまざまな理由が挙げられている。
ましてやジャカルタ都民ははなはだしい甘えと怠惰に加えて、激しい見栄っ張りだ。健康
によい歩行を避けて、さまざまな乗り物を使いたがる。

たとえば、郊外からジャカルタの職場に通うかれらは、常軌を逸した交通渋滞のために自
分の車を路上に何時間も駐車して恥じない。ところが今や、コミュータ鉄道はけっこう快
適な状態になっており、駅から目的地へは徒歩・オジェッ・乗合バスに乗り換えることが
できるというのに。

だから今ではアプリを使うオジェッをはじめ、オジェッ業がどんどん増えている。本来的
に乗客運送機関でないオートバイが歩行嫌いのひとびとにとって問題解消ツールになって
いるのだ。労働の場を提供する代替機能を担っているとはいえ、何千台ものオジェッは首
都の交通問題をさらに厄介なものにしている。

都庁は実際に、首都の歩行者のためのファシリティを整備する努力を続けてきた。あちこ
ちの歩道は改装され、拡張され、より快適なものに作り直された。しかし歩行者に対する
尊重の低さ(つまり人命尊重のこと)は歩行者に対する自動車運転者たちの態度に明白に
表れている。

最近話題になった、歩道を走行していたために注意された二輪車ライダーが、自分が悪い
と認めずに相手に反抗する姿を映したビデオがすべてを物語っている。中央ジャカルタ市
クブンシリ通りで歩道を走行する二輪車ライダーを阻止している歩行者同盟メンバーたち
に、そのライダーは怒り狂ったのである。路上が渋滞しているから、オジェッ運転手は迅
速に目的地に着かなければならないために仕方なく歩道を通っているのだ、というのがか
れらの言い分だった。

参考までに書き加えるなら、都内を路上走行する自動車の平均速度は時速19キロであり、
のんびりと自転車で走るようなスピードだ。そのデータは三年前にソーシャルナビアプリ
「ウェイズ」を用いて行われた調査の結果だ。今年はきっとその速度がもっとダウンし、
疾駆する人間のほうが都内の路上を走行する自動車より早い状況になっているのではない
だろうか。


都庁は歩道のファシリティとその活用にもっと意を払うときが来ているように思われる。
これまでなされてきた高架道路などの建設は交通渋滞軽減効果をいまだに示していない。
歩行者のための施設を踏みにじっている道路利用者への処罰は、もっと厳格になされなけ
ればならないだろう。

都市住民が歩くことをもっと好むように導かなければならない。スタンフォード大学が6
9都市で行ったサーベイ結果は安全・快適・フレンドリーな歩行者施設が都市住民の健康
に大きい影響を持っていることを物語っている。健康な人間はふつう、幸福感も高いので
ある。