「インドネシア語のパラダイム」(2017年08月23日) ライター: 言語ウオッチャー、インドネシア大学言語学名誉教授、アントン M ムリ オノ ソース: 2010年10月8日付けコンパス紙 "Perubahan dan Pengubahan" われわれの日常言語では、「berubah」と「mengubah」が交互に使われている。「berubah」 の形は、cuaca/iklim berubahやair mukanya berubahのように、主語にだけ関わっている。 そこでの意味は、cuaca, iklim, air mukaなどが元の状態から異なって、別の様子に変わ ることである。原因はそれ自体にあったり、不明であったり、重要でないと考えられた結 果、意識されないために言及されない。 別の言葉を加えてイディオム化する「berubah」動詞構文はたくさんある。「gila」を意 味する「berubah akal」、「ingkar janji」の意味の「berubah mulut」。それらがイデ ィオムと呼ばれるのは、その意味が構成する単語の個々の語義で説明されないからだ。 「mengubah」の形は主語と目的語に関わっている。「mengubah」もあれば「diubah」もあ り、原因が知覚され、認識され、調べられる。たとえば、mengubah teks Undang-Undang Dasar, mengubah warna dinding kamar ituなどの例文。「berubah」「mengubah」の形は それぞれ、異なるパラダイムを持っている。ここでパラダイムと言っているのは、同じ基 本形態を持つ多くの単語に付随しているパターンだ。マレーシア・シンガポール・ブルネ イダルッサラムのムラユ語、インドネシアとティモールレステのインドネシア語では、動 詞「berubah」のパラダイムは「peubah」(変化するもの)と「peubahan」(変化する状態 あるいはできごと)から成り、一方動詞「mengubah」のパラダイムは「pengubah」 (mengubahするもの)と「pengubahan」(mengubahする行為やプロセス)および「ubahan」 (mengubahの結果あるいは変化させられるもの)から成っている。 それらふたつのパラダイムは幅広い実用力を持っており、接辞per-anとpeng-anのついた 単語を細かく区別することができる。Jakarta berubah dengan pesatという例文はperu- bahan Jakarta yang pesatという意味に関連しており、MPR mengubah Undang-Undang Da- sar kitaという例文はpengubahan Undang-Undang Dasar kita oleh MPRに関わっているの である。つまりperubahan Undang-Undang Dasarではないということだ。Undang-Undang Dasarはdiubahされるのであって、自分でberubahすることは起こりえない。憲法をmengu- bahした結果がubahanなのである。憲法のubahanはamendemen(英語のamendmentが取り込 まれたもの)とも呼ばれる。 「amend」の本当の意味はmengubah untuk mengoreksiあるいはmemperbaiki sesuatuであ る。後者の語義はインドネシア語の動詞「pinda」に該当している。そのパラダイムは meminda - peminda - pemindaan - pindaanである。だからわれわれはpindaan pertama, pindaan keduaのように使うことができる。 上のパラダイムを用いるにあたって、現代インドネシア語の表現力を精査してみよう。 Melindungi kaum duafaはpelindungan kaum duafaと関係しているが、Kami berlindung di tempat amanはTempat aman itu perlindungan kamiに関連しているのである。 われわれの言語が「perairan」(tempat berair)と「pengairan」(tindakan mengairi)、 「permukiman」(tempat bermukim)と「pemukiman」(proses memukimkan)について話すの を可能にしていることを、われわれは幸いとしなければならない。われわれが 「pernikahan」と「perkawinan」という形を使うのは、昔の人が「bernikah」や 「berkawin」と言われたからだ。最後に「pedosa」(pendosaではない)と「perdosaan」 に関わっている「berdosa」および、「petobat」(pentobatではない)と「pertobatan」 に関連している「bertobat」のパラダイムを正しておきたい。