「中古車購入にご用心」(2017年08月23日)

大破して使えなくなった自動車を盗難車と組み合わせ、中古車として販売していた窃盗グ
ループを首都警察が暴いた。警察が2017年5〜8月の間に逮捕したこのグループメン
バーは4人で、38歳の車両スターター破りA、34歳のGPSキラーB、37歳の窃盗
実行者C、42歳の故買屋Dがその4人。この犯罪の頭脳だったもうひとりの男Eを警察
は追っている。警察はかれらから、盗難車15台と改造作業を終えた車2台を証拠品とし
て押収した。

このグループはEが考え出した犯行を実現させるために誘われた性格が強く、かれらは個
々に独立した犯罪者であって、さまざまなグループが必要に応じて声をかけてくる、とい
う種類の人間たちだったようだ。つまり、ひとつの組織としてかれらが寄り集まっていた
のではないということだ。


Eは交通事故や火災などで7割以上の損害を被った自動車を保険会社の競売で買い取り、
BPKBやSTNKなどのオリジナル書類付きで車両の残骸に近いものを入手する。そし
て、故買屋のDに同一車種同一色の車両を用意させる。その注文に応じられないとき、D
はCに車両を盗ませる。

Cは西ジャカルタ市一帯で仕事し、一週間以内にDに盗難車を納品する。Cは逮捕される
までに234台の実績をあげてきた、と取調べで豪語したらしい。CはDに盗難車両を1
千5百万ルピアで売り渡す。

DはAとBにスターターキーを別のものに変えさせるとともにGPSを取り外させてから、
それをEに2千万ルピアで売り渡す。Eは残骸車両から切り取ったエンジンブロックを盗
難車に移し替え、エンジン番号と車体番号を盗難車両に接着して廃車をよみがえらせる。
溶接された番号部分は丁寧にグラインダーをかけて、それらの作業の痕跡を消し去るので
ある。

こうして、つぶれてしまった自動車のアイデンティティが盗難車に移し替えられ、大手を
振って中古車市場に乗り込んで行けるという寸法だ。Eは中古車販売ブローカーに任せた
り、あるいは新聞のミニアドに広告を載せて、市場の相場でそれを販売する。

車両書類が欠けているためそれを偽造書類で補っている盗難車は普通、異常な安値で販売
されることが多く、その種の品物が市場に出てくると買い手もそれを承知で買うことが多
い。警察もその実態を知っているから、市場相場からかけ離れた値付けの品物は目をつけ
られやすい。Eは確かに、はなはだ大変な手間暇をかけて、それらの弱点を克服している
ように思われる。

警察はこの事件を公表するとともに、一般消費者は中古車を買うときにエンジン番号・車
体番号をチェックするだけでなく、番号周辺に溶接の痕跡がないことを注意深く確認する
ようにアドバイスした。また保険会社に対しても、大破車両競売の購入者に関する身元を
もっと注意深く把握するよう要請している。