「アクアのニセモノ」(2017年09月06日)

タクシーはブルーバード、飲料水はアクアという社会的評価が確立されているインドネシ
アで、ブルーバードタクシーに偽装した強盗タクシーも出現しており、そして今度はアク
ア飲料水のニセモノが登場した。

ガロン瓶と呼ばれている19Lボトルに入ったアクアのイシウラン(isi ulang =詰め替
え)は昔から市場に出回っているが、そのボトルに入っているのは地元の業者が生産者に
無断でアクアのガロン瓶に天然水を充填して販売しているものであり、まず封印キャップ
が違っていることと、価格が本物の半分から三分の一程度であることから、本物でないと
いうことがすぐにわかる。

これは地元民の生活用水需要を満たすために行われている商行為であって、使われている
ボトルがアクアのリサイクル品であることから外国人の目にうさんくさいものと映るわけ
だが、インドネシア人はその内容を熟知しているから、アクアイシウラン水を適所に使っ
ている。つまり中には飲用に使うひともいるということだ。ただし、アクア生産者が安全
性を保証していないことは理解しているはずだ。

普通、どこの土地へ行っても、ワルンにはホンモノアクアとアクアイシウランが店頭に置
かれており、アクアが欲しい客にはメーカー産のものを、イシウランが欲しい客にはイシ
ウランを渡して、相場通りの料金を徴収している。店員が客を欺こうとした例をわたし自
身まだ見聞したことがない。


ところが、アクアの封印キャップがなされ、価格も本物アクアとして市場に流通している
ものの中にイシウラン水が詰められていたという事件が、17年8月に南ジャカルタ市で
発生した。

ある日、アクアを買った客が店に苦情を持ち込んできた。「水が濁っていて、土臭い。」
そう言われた店主は、警察に届け出た。警察の捜査が始まる。その店にアクアを卸してい
る配送トラックの追跡が行われ、中の一台が商品を民家から運び出しているのが見つかっ
た。

南ジャカルタ市警チランダッ署は、この違法事業の出資者28歳、販売者55歳、製造担
当20歳ふたりの合計4人を逮捕し、リサイクルガロン瓶の供給者と封印キャップ供給者
を追跡中。


警察が4人の取調べから得た犯行内容は、次のようなものだった。
かれらは民家の中で地下水をタンクに汲み上げ、ろ過装置を通してアクアガロン瓶に水を
詰める。そのとき、4分の1はホンモノアクアの水を入れ、あとは天然水を混ぜていた。
そして封印キャップを電気炊飯器の中で加熱し、膨張した熱い状態で瓶の口に装着する。
冷えて固まれば、メーカーが出荷してくるものと見分けがつかないそうだ。

一味はこの犯行を16年7月から開始し、一日当たり3百本程度生産して、南ジャカルタ
のルバッブルス(Lebak Bulus)やポンドッチャベ(Pondk Cabe)の7軒の商店やワルンに卸
していた。

そのエリアの本物アクアの消費者価格相場はひと瓶1万5千から1万7千ルピアで、この
一味はニセモノアクアをひと瓶1万3千ルピアで販売し、9千ルピアの純利をあげていた
とのこと。

警察はニセモノ製造場所で、出荷直前の商品40本、アクア封印キャップ新品2箱と使用
済みキャップ4袋、並びに製造装置一式を押収した。