「パシルプティ」(2017年09月07日)

インドネシア語でpasir putihは白砂を意味する。白い砂浜はどこでもpantai pasih putih
と呼ばれている。ところが、それが固有名詞になっている場所がある。東ジャワ州シトゥ
ボンド(Situbondo)県ブガタン(Bungatan)郡の海岸行楽地がパシルプティだ。

スラバヤ方面からプロボリンゴ(Probolinggo)を超えてジャワ島最東端のバニュワギ(Ba-
nyuwangi)を目指すとき、われわれは国道1号線を走ることになる。これはダンデルスがジ
ャワ島西端のアニェル(Anyer)とシトゥボンドの手前にある港町パナルカン(Panarukan)を
結んで建設した大郵便道路の名残で、今その大郵便道路はジャワ島北岸街道(Pantura)と
呼ばれている。


プロボリンゴとシトゥボンドの県境に設けられたパイトン火力発電所は海岸に作られてお
り、街道は山に沿って高台に登っていくので、絶景を楽しむことができる。夜中にそこを
通れば、煌々たる明かりに輝く発電所の光景はまた格別のものだ。

県境を超えてからブスキ(Besuki)の町を通過し、街道をひたすら東に向かって進むと、そ
のうちに道は海岸沿いになる。ブスキから20キロほど走ったところが行楽地パシルプテ
ィだ。そこからシトゥボンドの町へも20キロほど離れている。街道沿いの海岸との間に
宿泊施設や食堂が並んでいるので、リゾート地として施設は十分に整っていると言える。

このパシルプティ行楽地を運営しているのは県営会社PD Pasir Putihで、同社データによ
れば毎週5〜6百人の行楽客がやってくるようだ。しかしルバラン休暇ともなれば海岸は
ごった返し、2017年はルバラン前日から10日後までの間に訪れた人数が2万7千人
にのぼった。

このビーチは沖合3.2キロまで平坦な傾斜の海底が続き、サンゴ礁はなく、波はきわめ
て穏やかなため、子供連れで海遊びにやってくる一家は安心して子供を遊ばせることがで
きることから、評判は上々らしい。

海には漁船が並んでいる。しかし漁民はこの海域で網を使う漁が禁じられているため、船
は舟遊びに使われているほうが多い。8人が乗れる船は、一隻あたりのチャーター料金が
12万5千ルピアだが、もちろんタワルムナワルが可能だ。岸辺にはシュノーケルの道具
がレンタルされているから、それを持って沖に出るのもおもしろいにちがいない。釣りの
愛好者もきっと楽しめるだろう。行楽地管理者は船の数を55隻までとしているので、船
頭たちも落ち着いて商売を営んでいるようだ。

海が荒れ模様になると、行楽地管理者は行楽客を乗せて沖へでることを船頭たちに禁止す
る。行楽客のための安全管理は、半ば野放しの他の行楽地よりもしっかりと行われている
ようだ。

この行楽地が提供してくれる楽しみがもうひとつある。それは素晴らしいサンセット風景。
後ろの山から夕闇がどんどん降りてくる一方で、海に沈んでいく夕陽の美しさは言葉に言
い尽くせない感動を与えてくれる。

スラバヤからは225キロの道のり。東ジャワの観光スポットを回った方は、このローカ
ル色豊かな行楽地を次の目的地にしてみてはいかがだろうか?