「ジャワ・バリ・ヌサトゥンガラの水供給は絶望的」(2017年09月20日)

2017年の乾季は、地学気候気象庁によれば平年並みのものと発表されているが、ジャ
ワとヌサトゥンガラで激しい水不足が起こっている。それは、大自然がもたらしているも
のが同じであっても、人間の側が自然を破壊しているために大自然のもたらすものがうま
く享受できなくなっているということらしい。気象予報から人間の暮らしへの影響を予測
するのが困難な時代が始まっているようだ。

災害対策国家庁のデータによれば、ジャワとヌサトゥンガラで105県市に干ばつが発生
し、住民390万人がその被害をこうむっているとのこと。2014年の記録では86県
市が干ばつ災害ステータスに置かれており、状況は悪化している。

地学気候気象庁は2017年の雨季入りについて、10月から11月にかけて全国的に雨
季入りする平常パターンであり、どの地方もだいたい例年のようなタイミングで雨季が始
まる見込みだと発表している。

乾季に入ると観測地区ごとに無降雨日数が記録される。2017年でその上位に並んでい
るのはジャワ島東部、西ヌサトゥンガラの一部、東ヌサトゥンガラだ。東ヌサトゥンガラ
には無降雨日数120日という地区がある。ジャワはほとんどの地区が30日程度で、一
部に60日を超えているところもある。これはほぼ、例年の状況に沿ったものだと同庁職
員は述べている。


中部ジャワ州では、パティ・レンバン・ブローラ・グロボガン・スラゲン・ドゥマッ・ク
ンダル・ウォノギリの一部・トゥガル・バニュマス・ブルブスで水不足が深刻化している。
州内35県市のうち23県市の217カ村が上水難に陥った。前年の乾季末は400カ村
が被害を受けたから、それに比べれば軽いと言えるかもしれないが、前年は被害のなかっ
たバンジャルヌガラで17年は24カ村に被害が出ている。

前年と17年の違いについて住民の多くは、17年の乾季が激しい暑さを伴っていたこと
を指摘している。シンドロ〜スンビン山系でその影響が顕著に見られ、前年は何の問題も
なかった稜原が17年は干からびているありさまだ。バンジャルヌガラ県カリアジル村住
民の話によれば、今年の乾季は暑い日が続き、乾季に入って三週間目には水源が涸れてし
まい、県から上水の支給を受けなければならなくなった由。昨年はまったくそんな心配が
なかったから、こんなことになるとは思っても見なかった、とその住民は語っている。

東ジャワ州スラバヤの西隣にあるグルシッ県では、各家庭の井戸が干上がったため、料理
洗濯用水を得るために池に水汲みに行くようになった。シドアルジョ県では、稲作農民の
間で水田に流す水の奪い合いが住民間のコンフリクトを誘っている。ブスキ村の60農家
が耕作している42Haの水田では、今や稲の立ち枯れの危機に見舞われている。


災害対策国家庁広報情報データセンター長は国民生活における水需要について、全国レベ
ルにおける家庭・都市・灌漑・工業・その他の需要に対する供給量はサープラスになって
いる、と語る。「しかし、ジャワ島・バリ島・ヌサトゥンガラの諸島は需要過多だ。それ
らの地域では、雨季のおよそ5カ月間だけ供給オーバーになるものの、その後の7カ月間
は供給不足になる。つまり年間を通しての水需要を満たすだけの供給量がないということ
だ。」

国家開発企画庁が2007年に行った研究は、ジャワ島・バリ島・ヌサトゥンガラの諸島
の乾季の水需要を満たすことはできない、という結論になっており、その地域にある全県
市の77%が一年間のうちで1〜8カ月間水不足に陥るという状況を描き出している。河
川流域の破損・自然環境の劣化・雨水浸透地域の縮小・自然水汚染などがもたらした結果
がそれである由。水供給に対する土地のサポート能力がもはや追いつかなくなっている。

今後必ず起こるであろう人口増は気象傾向に影響を与えるとともに、水需要をますます上
昇させていき、水危機は激化の一途をたどるだろう。地学気候気象庁は気象の傾向変化に
ついて、将来的に乾季はますます暑く乾燥し、雨季はますます降雨量が高まるだろうと予
想している。つまり傾向が極端化していくといのがその予想だ。

ジャワ島からヌサトゥンガラにかけての地域では、乾季に東風が吹く。この東風はオース
トラリア大陸の高気圧が噴き出してくるもので、湿度50%を切る乾燥した気流が西から
北西に向かって吹いてくる。そのためにこの一帯では、乾季は冷たい乾燥した空気に包ま
れる傾向が高く、降雨は減少する。気圧配置の変動によって乾季と雨季の交代が起こるの
だが、そのタイミングいかんによって無降雨日数が膨れ上がる可能性は大いにあるそうだ。