「グヌンアグンの噴火は間近いか?」(2017年09月25日)

バリ島アグン山の火山警戒ステータスが2017年9月22日20時半に最高位の第四級
「危険」に引き上げられた。引き上げがなされたのは、その日0時から12時までの間に
791回の地震が観測されたためで、21日の同じ時間帯における466回から大幅な上
昇になっている。21日は24時間中でも759回の地震が記録されただけだった。マグ
マが表層に上がってきている兆候が確認されていると火山地質災害対策センターは表明し
ている。

警戒ステータスの上昇に伴って、立入禁止区域が火口から半径9キロ以内にまで広げられ
た。ただし実際には地形や風向その他さまざまなファクターを織り込んでの人命に対する
安全確保が最優先されるため、アグン山の南東・南・南西は火口から12キロまでが危険
地区に指定され、住民の避難が進められている。

バリ島カランガスム県の北東海岸部はティアニャールからクブ〜トゥランベン〜トゥトゥ
ンの一帯までが対象区域に入り、西はブサキ村、南はスブディ〜ドゥダウタラ一帯のエリ
アが含まれ、ラフティングの盛んなトゥラガワジャ川もカバーされているようだ。ブサキ
寺院は9月23日に閉鎖され、カランガスム県の観光地で安全圏にあるのはチャンディダ
サやスカサダウジュンくらいになっている。しかし1963年の噴火では、溶岩が南側に
流れてカランガスム県から西に向かう道路にある8カ所の橋が全滅したそうだから、交通
の便も警戒しなければならない。


9月23日の観測では、0時から18時までに472回の地震が記録された一方、白い噴
煙が小規模ながら見られた。この日の朝降った雨が硫気孔に反応を起こさせた結果だろう
と見られている。次いで18時から24時までの観測では、113回の地震が記録された。
ところが24日の0時〜6時は300回の地震が発生している。午前1時45分ごろに発
生した3.8リヒタースケールのものはそのひとつであり、震源地はアグン山の北東10
キロ地点で、場所はクブ村のど真ん中だった。

住民に対する避難命令が出されて大勢があちこちに設けられた避難場所に移っているが、
中には自主的に別の県にある親族の家に避難する者も少なくない。その一方で、噴煙や火
山性物質の放出がいまだに見られない状況が心理的に余裕を与えているのだろうが、家や
家畜の保全を理由にして避難しようとしない住民も中にいる。カランガスム県住民人口は
40万8千人で、そのうちの6万2千人が県の?指定した避難対象地区居住者だ。

カランガスム県警は避難対象地区内のパトロールを開始している。避難して空き家になっ
た住民の家屋に侵入する空き巣や略奪犯罪の防止と、危険地区内に入った観光スポットを
訪れる観光客の保護がその目的だ。


アグン山の噴火が始まったとき、火山灰や塵埃が南西に向かって流れる可能性が高いこと
から、政府運輸省はちょうどその通り道にあたるグラライ空港が閉鎖を余儀なくされた場
合の対策検討を開始している。グラライ空港が閉鎖されて欠航になった乗客を最寄りの空
港に移動させ、その空港から出発させるために、ひとつはバニュワギのブリンビンサリ空
港、もうひとつはロンボッのプラヤ空港が対象にあげられている。更には国際線との関連
で、スラバヤ、スマラン、ヨグヤカルタ、マカッサルの各空港もその検討に含まれている
とのこと。