「再び、ジャカルタ沈没(後)」(2017年09月27日)

コンパス紙R&Dが2017年8月5〜6日にジャボデタベッ住民439人に対して行っ
た電話インタビューから、首都圏住民の水利用の一シーンが明らかになっている。地下水
つまり井戸水が住民の生活用水として使われている状況が明白に示されている。

質問1)
あなた/あなたの一家がマンディ(mandi)・洗濯(cuci)・トイレ(kakus)(インドネシアで
一般にMCKと通称されている)に使っている水はどこから得られたものですか?
回答1)
井戸54.0%、上水道44.9%、水売り0.2%、天水0.2%、知らない0.7%

質問2)
あなた/あなたの一家が飲用に使っている水はどこから得られたものですか?
回答2)
有名ブランドの瓶詰飲用水63.8%、井戸水16.4%、上水道11.1%、無ブラン
ドの瓶詰飲用水8.7%

質問3)
井戸水利用者に対して、水のクオリティはどうですか?
回答3)
いつも澄んでいて、臭いもない(十分に利用可能)60.4%
澄んでいるときもあれば、濁っているときもある 15.0%
臭いがある 4.6%
味がある(飲用に適さない) 2.5%
不明・無回答 17.5%

飲用や料理に適さない地下水を汲み上げてMCKに使っているひとは22%いた。その中に
は、言うまでもなく、そんな水質を浄水器でカバーしようという人が必ずいる。そういう自
助努力を行っているひとは10人中3人いたが、その結果澄んだ無臭の水が得られても、鉄
分・マグネシウム・他の金属元素類から雑菌や赤痢菌などの対策がはたしてなされているの
だろうか?


都庁はエコシステム保全のために、地下水利用を減少させるためのディスインセンティブと
して、地下水汲み上げに課税することを決めた。2017年都知事規則第38号がそれだ。
それに対する都民の反応は、上の調査によれば次のようになっている。

質問4)
地下水汲み上げ抑制のために都庁が課税をすることについて、賛成しますか、反対しますか?
回答4)
賛成する39.2%、反対する52.6%、不明無回答8.2%

自分の土地にある天然資源を無償で利用するのは、住民ひとりひとりに与えられた権利であ
る。地下水は豊富にあるのだから、住民に対してそのような制限をする必要はない。

回答者の多くが述べた意見がそれだった。政府の住民に対する啓蒙と意識付けがいかに遅れ
ているかを端的に示す例がそれだろう。地下水が都民の共通資産であるという認識が低いか
ぎり、いざ課税が開始されても住民とのいたちごっこに陥るのが関の山であり、正直者が損
をするのだから、無届井戸はさらに増大するにちがいない。この問題に関するかぎり、政府
が抱えている問題は奥底の深いものだろう。[ 完 ]