「ATM破り」(2017年10月03日)

東ジャワ州グルシッ県マニャル郡スコムリヨ村のマンディリ銀行ATMが2017年9月
3日(日)に破られた。事件を発見したのは15時ごろやってきた清掃員で、ブース内に
あるATMの現金収納ボックスの扉が開いているのを見て通報した。

銀行からの情報や監視カメラ画像などを調べたグルシッ県警は、犯行が13時ごろ行われ
たことを確定した。ふたつのATM現金収納ボックスが無くなっており、ひとつは現金1
億5千万ルピア、もうひとつは6千3百万ルピアが入っていたと届け出られている。

マンディリ銀行スラバヤ支店の現金配送業務を受託しているUGM社従業員に的を絞った
県警捜査班は全従業員のアリバイ調べを開始する。ところがATMの現金出し入れを扱う
従業員の多くが退職しているため、アリバイ調べは難航した。


時間はかかったものの、容疑は最終的にZ32歳に傾いて行った。そしてZがホンボシで
ある確信に達した捜査班は、9月25日にZと共犯者の女友達R30歳を逮捕した。ふた
りは2億ルピアを超える現金を手に入れたが、逮捕されたとき持っていたのは8,570
万ルピアだけだった。三週間に消費された金は1億3千万近い金額で、ふたりはその金を
生活費や純金ブレスレット・空気銃・コンプレッサーなどの購入に使っていた。コンプレ
ッサーはビジネスのためだったそうだ。

Zは勤めていたころから既に、その犯行を計画していたようだ。Zは仕事を辞める前に、
ATM現金収納ボックスの扉を開くための手順と合鍵を確保していた。そして何曜日の何
時ごろどこのATMが閑散とするのかという周辺状況も把握していたのである。


決行当日、ZはRからヒジャブとワンピースを借りて女装し、Rにオートバイで現場へ送
ってもらった。そしてヘルメットのままATMブースに入ると現金収納ボックスを開き、
持ってきたビニール袋に現金を突っ込んで、再びZのコスに戻った。ATMブース内にい
た時間は2分間だったそうだ。

ATM機のセキュリティは鍵と認証コードの二本立てになっている。その仕事をしている
とき、かれはそのダブルセキュリティを毎回解除していたのであり、認証コードはメモに
書いて持っていた。忘れたら仕事ができないからだ。

従業員にはセキュリティを解除して仕事をしてもらわなければならない。その期待に応え
て確実に業務を果たすために、従業員は補助資料を用意し、また万一のことを思って合鍵
を作る。それが今回行われた犯行のキーファクターになった。そのようなアンビヴァレン
ツは多分インドネシアで、避けようのない不可抗力ファクターになっているのではあるま
いか?

グルシッ県ではこの事件より先に、2016年12月にミニマーケット内のATMが破ら
れる事件が起こっている。犯人は犯行時にまず監視カメラを破壊しており、県警はいまだ
に手掛かりがつかめないままだ。