「歩道は経済資源(後)」(2017年10月19日)

教育文化省国語センター編纂のインドネシア語大辞典によれば、トロトアルの意味は「そ
の上を歩行者が通行する場所」となっており、カキリマ商人の営業場所でもなければ路上
駐車に使われるスペースでもなく、またオンラインオジェッや在来オジェッの溜まり場で
もないし、待ち合わせ場所でもなければ都バスやアンコッの乗降場所でもないのである。

ところがジャカルタの現実はそうなっているのだ。それらの違法歩道利用者は行政や法秩
序執行機関の目を掠め、あるいは放置されるのをいいことにして、それぞれが自分の利益
や便宜を享受するために互いに歩道を蝕み合っているのである。


都庁は2017年8月1日から歩道取締りキャンペーンを開始した。その8月9月に繰り
広げられた「歩道取締り月間」で、9月28日までにレッカー車で運ばれた違法駐車車両
は1,358台、都庁交通局に違反切符を切られた車両2,271台、警察に違反切符を
切られた車両2,357台、タイヤの空気抜き処分を受けた二輪車11,968台、空気
抜き処分四輪車5,433台などとなっている。

都庁交通局長は歩道に関する都民の意識について、歩道利用権が歩行者にあってそれ以外
の者は歩道を使ってはいけない、という認識がたいへん低いと述べている。「かれらはそ
んなことなど気にもかけておらず、弱肉強食の争奪場所にされている。強く図々しい者が
歩道を占領しているのだ。」

歩道利用秩序が損なわれがちな重要ポイントを都庁は特に取締り対象に挙げている。タナ
アバン鉄道駅周辺の歩道には毎朝、行政警察員と都庁交通局員が出張って、取締りを行っ
ている。パルメラ駅、マンガドゥア地区、サバン通り、ワヒッハシム通り、ブルガン地区
などが重点対象だ。


都政オブザーバーは歩道秩序に関して、いくつかの弱点を指摘している。ひとつは都庁に
よる都民への啓蒙活動が不足していることで、歩道を経済資源としてしか見ていないひと
びとの認識を是正する努力をもって行なわなければならない。もうひとつは、設けられた
歩道が歩行者で埋まるようにするために、「歩け歩け運動」のような都民運動をプロモー
トする必要がある。歩道が歩行者で埋まれば、カキリマやオジェッあるいは違法駐車に対
する非難がおのずと都民の間から湧いてくる。今はまだ都民の側にその態勢が十分備わっ
ていないことが、歩道の違法使用者の割り込みを起こさせている原因のひとつである、と
かれはコメントしている。

公共運送機関の利用者が増えることで、たとえば鉄道駅周辺にカキリマやオジェッが増加
する。カキリマが増えるのは鉄道利用者がついでにその周辺で買い物をするためであり、
またサブ運送システムであるオジェッも当然のことながら、鉄道利用者のために必要とな
り、かれらの居場所が設けられていないために歩道をかれらが使うという要素もないわけ
ではない。都庁と国鉄が協力しながら、そういった問題への解決に努める方向性がこれか
ら期待されるにちがいない。[ 完 ]