「アグン山の噴火が近付いている」(2017年10月23日) グヌンアグンの火山性地震回数が一日3百回程度にまで減少してきた。しかしこれで噴火 騒動が収まると喜んではいけない。たしかにそれだけ見れば、火山活動が低下してきてい るように見えるものの、他の要素は噴火に向けて状況が進展していることをうかがわせて いる、と地学庁火山地質災害対策センター長官は表明している。 噴煙を見る限りでは警報が出されてからも噴煙レベルは小さく、日を追って増加してはい ても、毎日2百メートル程度のものが観察されているだけだ。それは遠距離からでも、天 候次第ではっきり目視することができる。去る10月18日に突然1千5百メートルの高 さまで噴煙が立ち上ったときは、住民の間にパニックが起こった。 17年9月以来続けられているGPS観測によれば、アグン山の山容に変化が見られると のこと。深層のマグマ溜まりが収縮する一方、火口から5キロほどの浅層部では膨張が起 こっていて、ひと月で6cmほど地面が上昇しているのが観測されている。その状況から マグマが火口に向かって移動してきていると解釈することができ、火口から4キロ辺りの 距離まで進んで来ているとの可能性が指摘されている。火口に接近してきているマグマの 量は1,850万立米という予測だ。 あとは移動してきているマグマが火口をふさいでいる岩塊を突き破るだけの圧力を持って いるのかどうかの問題になり、それに対する答えを出せる者はいない。突き破られれば噴 火に至り、突き破られなければとりあえずは鎮静化していくだろうというのが、火山地質 災害対策センター側の見解になっている。