「無節操な抗生物質摂取」(2017年11月01日)

規準量を超える安易な抗生物質投与のせいで抗菌薬耐性が強まった結果、感染症が増加傾
向にある。必然的に患者の治癒も長期間になっている。

抗菌薬への耐性を持つもののひとつに大腸菌や肺炎桿菌から作られる基質特異性拡張型β
ラクタマーゼがあり、その耐性が抗菌薬耐性(AMR)と呼ばれているのである。

保健省抗菌薬耐性抑制委員会委員長は、患者がAMRにかかると医師の決めた治療法に障
害が起こる、と語る。治療期間が長引き、死亡のリスクも高まる。

他にも手術の失敗という影響が加わってくる。AMRのせいで、咽喉手術が失敗した実例
があるとのこと。
「医療履歴を見ると、その患者は規定量を超える抗生物質を飲んでいた。委員会の調査デ
ータでは、抗菌薬耐性による患者の疾患悪化ケースは増加傾向にある。2013年の比率
は26〜56%だったものが、2016年には45〜89%になっている。委員会が全国
9大都市で集めたデータによると、50%超の都市が半分を超えた。比率の最高はアチェ
の82%、次いでスマラン79%、メダン78%だ。病院で治療中にAMRによる感染症
が5〜19%の比率で起こっている。聴診器を経由して耐性菌が別の患者に転移した例が
見つかっている。病院は患者の処置に際して、作業手順を厳守して滅菌に努めなければな
らない。医療従事者だけでなく、医療器具にも細心の注意を払わなければならない。」

AMRは適正でない抗生物質の摂取が引き起こしているものであり、それを適正化するこ
とで防ぐことができる。患者の状態が抗生物質を必要としていないにも関わらず、抗生物
質が与えられているケースがある。あるいは適正な量を超えて与えられているケースもあ
る。それは医師の側だけの問題でなく、患者が安易に抗生物質を求める要因も関係してい
る。医師の処方箋なしに抗生物質を購入できる場所はあちこちに存在しており、医学に明
るくない患者が自己判断で好き勝手に抗生物質を入手して服用するのは、きわめて危険な
ことだ。

患者は血液や排泄物を使って抗菌薬耐性テストを行ない。自分の体に効かない抗生物質を
知ることもできる。そうやって抗生物質への関心を高めてもらいたい、と病院関係者は語
っている。