「復活するハルコグロドッ(後)」(2017年11月24日) その売り場スペースは昔の賃貸方式をやめて、売却方式に変更された。賃貸スペースはほ んのわずかだけになっている。新ハルコグロドッの売り場スペースを持った小売業者の多 くは、昔のハルコビルのテナントだったそうだ。 売場総床面積1Haは2千3百の店に分割され、もっとも狭いところが7平米、広いのは 100平米というバリエーションだそうで、ここへ来ればまずないものはないだろうから、 あとは数え切れないほどの店をはしごして宝探しをするという、あの昔取った杵柄がきっ と再現されることになるだろう。 ところが、もはやそのようなことがはやらなくなってきていることは世界共通の現象だ。 一般家庭で需要の多い商品市場は、ネットショッピングが小売販売店を侵食しつつある。 インドネシアでもそれは例外でない。 コリエールズインターナショナルインドネシアによれば、2017年Q3のジャカルタの 小売スペース稼働率は83.8%で過去7年間の最低を記録したとのことだ。商業施設の テナント入居はその施設の集客状況と密接に関連している。そこには商業施設運営の要素 とテナントである商店側の要素が共に影を落とすことになる。自宅に居ながらにして商品 を注文し、届けられたものを受け取るという便利さが消費者の商店訪問を減らすことは、 疑いようもない。 ハルコグロドッの周辺、半径5百メートルの中に、リンデテヴェス(Lindeteves)トレード センター、プラザオリオン、グロドップラザなどのショッピングセンターが満載になって いるこの地域だから、集客はまず疑いないところだろうが、ネットショッピングでは売れ ない商品を扱うことも商店側の戦略のひとつになるにちがいない。サウンドシステム、カ ラオケセット、ホームシアターなどの高額オーディオ商品は、価格が数千万から億の単位 に上るため、購入者が品物を見ずに買うことはほとんどない。 しかしながら、その地域内のショッピングセンターは家庭用電気電子機器から重電や部品 などを扱う店が多いという特徴を持っており、だからこそ都民消費者はそういう商品を買 うときにグロドッにやってきてあちこちの店を訪れ、品物と価格を見比べるのである。 その一方で、小売販売店がネット販売に乗り出している例も数多い。「自分が何もしなけ れば他の人間がそれをするのだから、新しい販売ルートを作るだけのことだ。」という商 店主の意見はきわめてポジティブシンキングなあり方であるにちがいない。[ 完 ]