「進化する結婚観(後)」(2017年11月24日)

ただし、ミレニアル世代の結婚パターンを一律に論じるわけにはいかない。これは世代問
題のみならず、全国各地の文化社会ファクターがそれぞれ異なっている要素にも目を向け
なければならないからだ。ミレニアル世代型結婚は基礎的欲求が満たされているインドネ
シアの都市社会の若者の一部に該当しても、基礎的欲求が満たされていない若者たちにと
っての結婚が経済や愛を動機にしているという例は至るところで容易に見出すことができ
る、と教授は続ける。

自己実現のための結婚において、追求されているものは自己表現だ。キャリアやホビーあ
るいは精神生活の分野で、結婚生活が自分の秘めているポテンシャリティを最大限に実現
させるための場となることが期待されており、結婚相手には愛情や性生活だけでなく、パ
ートナーがより向上することをサポートする要素が求められている。

「自分が持っているものを最大限に伸ばしたいという希望に役立つひとが結婚相手に選ば
れる。つまり自分が理想としているものを満たせるひとが理想の結婚相手ということにな
る。この夫婦関係は結婚生活に重圧をもたらすことになる。特に結婚した後で見込み違い
が判明したときには。
自己実現のための結婚は何も悪いことでないが、結婚相手が自分とは人格の異なるひとり
の人間であるということを、最初から自覚しておくべきだ。自分の望むことを相手が何で
もしてくれると思ってはならない。ひとは往々にして結婚相手にさまざまな不足や欠点を
見出すが、それは自分が相手に対して過剰な望みを抱くからだ。
そうなれば、結婚は離婚の危機にさらされる。よしんば離婚に至らなかったとしても結婚
生活は悲惨なものになるだろう。なぜなら、そこに最大限の自己表現の実現という望みを
阻まれた人がいるのだから。一方、それがうまく行ったカップルには他に比べようもない
幸福と繁栄が訪れることになる。」

自己実現のための結婚がもたらす問題は予測することができる。パートナーの期待レベル
を推定することもできる。カップルは時間とエネルギーをかけて意見を述べ、相手の言葉
を聞き、相談し合うことができる。

時間とエネルギーをかけて相互理解を深め、パートナーのより良い成長をサポートしよう
としない限り、満足できる結婚生活を得ることはできない。時間とエネルギーをかけて結
婚生活をメンテナンスしていくことが鍵になる。どうあっても、愛というものは変動する
のである。最初のひと目から10年15年という結婚生活の間中、愛が一定量を保ち続け
ることはありえない。だからこそ、愛を、そして結婚生活を絶えずメンテナンスしていく
ことが求められているのだ。[ 完 ]