「児童婚緊急事態(1)」(2017年11月29日)

ライター: インドネシア教員連合事務局長、2017〜2022年期児童保護コミッシ
ョンコミッショナー、レッノ・リスティヤルティ
ソース: 2017年7月25日付けコンパス紙 "Darurat Perkawinan Anak"

毎日4万1千人以上の18歳未満の女性が結婚している。貧困、ジェンダー不平等、クオ
リティのある教育へのアクセス、制限された生殖保健サービス、制限された勤労機会、な
どが未成年結婚と18歳未満の出産を恒久化している。国連によれば、インドネシアは結
婚生活の負担を背負わされる児童婚の絶対数で世界第七位であるそうだ。

インドネシアは東アジア太平洋地域の中で、児童婚のもっとも多い国のひとつになってい
る。東南アジアではカンボジアに次いで第二位だ。

2016年に中央統計庁が発表したデータ分析では、未成年結婚のもっとも多い年齢層は
16歳と17歳だった。結婚する女性四人のうちひとりが18歳未満者である。2008
年から2015年までの児童婚件数を見ても、そこに明白な減少傾向を見出すことができ
ない。婚姻件数中の児童婚の割合は25%前後が維持されている。児童婚発生が顕著な地
方は、西スラウェシ州36.2%、そしてそのあとを中部カリマンタン州、中部スラウェ
シ州が追っている。

それらのデータはインドネシアが児童婚に関して緊急事態に陥っている事実を裏付けるも
のだ。その状況が緊急事態であるというのは、子供・親・家族・社会・国などのそれぞれ
にたくさんの影響をもたらすからだ。

< 子供の権利侵害 >
第一に未成年結婚は、教育・保健・収入・安全・能力を制限し、また地位と役割を制限す
るために、子供の基本的人権への侵害となる。未成年結婚を行った子供は学校をドロップ
アウトしたり、上級学校への進学をやめなければならなくなる。その子供が女子であれば
幼い年齢で妊娠する可能性があり、身体器官が未発達であることがその子にリスクをもた
らす。

子供を養育する者には精神的成熟が必要であるにもかかわらず、まだ幼い年齢の子供が子
育てを行うことを強いられる。毎日が赤児の世話の忙しさに塗りつぶされることが目に見
えており、自己の能力や潜在性を研鑽する時間を持つのは困難になるだろう。同時に、働
いて報酬を得ることも困難になるにちがいない。

児童婚でよく見られるのは、本人が結婚を望んでいるわけでないケースだ。インドネシア
の社会には、子供を学校へやるのはその一家にとって負担をもたらす、という観念がある。
特に経済力の弱い家庭にその考え方が強い。学校へやらないで、早く結婚させて家から出
るようにするのがその対処方法だ。また、子供が思春期になると異性交遊にのめり込んで
ふしだらな真似をしでかすと親が思い込んでいるために、そんな事態になるのを予防しよ
うとして子供に結婚を強制することもある。子供に健全で正しい社会行動を教育する責任
が親にあるというのに。[ 続く ]